【完璧予習】現代の「新巨匠」C・ノーラン監督最新作『ダンケルク』を観るべき5つの理由

3.ケタ違いのスケール感

『ダークナイト』でのジョーカーの襲撃シーンや、『インセプション』での「無重力ホテル」のシーンを思い出してもらえば納得してもらえると思うけど、ノーラン監督の映画は、できるだけ「巨大なスクリーン」で観た方がいい。

IMAXカメラ(ハリウッドのメジャー映画では、彼が初めて使用した)での撮影がもたらす、ケタ外れのスケール感。「重厚感」満載の映像美学。そしてシーン自体の圧倒的な緊迫感……それらすべてが一体となって映画館の座席に直に襲ってくる体験は、遊園地の絶叫系アトラクションの興奮をはるかに超える「一大イベント」であるからだ。

『ダンケルク』でのノーラン監督(&名撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマ)は、今回もまたIMAXカメラの全面的導入に加え、より壮大なパノラマ感を手にするため、65㎜フィルムも合わせて使用。圧巻の映像パワーにより、われわれ観客は、いきなり「戦場の真っただ中」に放りこまれ、兵士たちと同様、「目と鼻の先」に押し寄せてくる死への恐怖と直面することになるのだ。

【完璧予習】現代の「新巨匠」C・ノーラン監督最新作『ダンケルク』を観るべき5つの理由 - © 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.

4.男たちの熱ドラマ

ノーラン監督の映画では、常に、男たちの熾烈なドラマが繰り広げられる。ダークな影を持つヒーロー(『ダークナイト』3部作、『インセプション』)、お互いのプライドを賭けたライバル関係(『インソムニア』でのアル・パチーノ×ロビン・ウィリアムズ、『ダークナイト』でのバットマン×ジョーカー)、先の見えない謎に翻弄されながら、どうにか答えを導き出そうと必死で抗う男たち(ほぼほぼすべての作品!)。クリスチャン・ベール、渡辺謙、トム・ハーディ、マイケル・ケインなど、「リピート出演」する俳優が多いのも、監督と俳優の間にそれだけ「特別」な信頼関係が築かれていることの証明だろう。

『ダンケルク』には、いわゆる一般的な意味での「主人公」はいない。しいて言えば、撤退作戦に参加した40万人の兵士、そのすべてが主人公である……というのがノーラン監督の基本的なアプローチだ。とは言え、今回もやはり、物語の随所で選りすぐりの俳優たちの名演技が待っている。トム・ハーディやキリアン・マーフィといった常連組に加え、ケネス・ブラナーやマーク・ライランスといった英国映画界を代表するベテラン俳優、さらには、あのワン・ダイレクションのハリー・スタイルズも兵士役でがっつり登場しているので、お見逃しなく!

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5.音楽&サウンドもすごい!

ノーランの監督作をなるべく大きな映画館で観た方がいい「もうひとつ」の理由は、サウンドだ。彼の映画の中で、音楽はただのBGMではない。登場人物の心理や物語のテーマの「深層」部分にまで深く溶け込んでいるという意味では、ノーランが仕掛ける壮大なパズルの「1ピース」でもあるのだ。

『ダンケルク』でスコア音楽を担当するのは、今やノーラン監督とは黄金コンビであるハンス・ジマー。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズなど、多くのハリウッド大作を手がける大御所だが、ノーラン監督と組むときのジマーはまるで別人で、ひたすら「攻めのスコア」に徹し、われわれ観客の聴覚をあの手この手で刺激してくる。また、今回の『ダンケルク』は、効果音などの音響サウンドも、過去のノーラン映画と比べ、最高に「ラウド」な仕上がりとなっている。銃声や爆破音がひっきりなしに飛び交う過酷な戦場の環境をリアルに再現し、ときに「耳の鼓膜が裂けるんじゃないか?」と思ってしまうほどの轟音サウンドは――よっぽど高級なサラウンドスピーカーを自宅に完備している人は抜きにして!――これもまた、やはり実際の映画館でリアルに「体験」してみてほしい。
(内瀬戸久司)

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