プロフェッツ・オブ・レイジ、トム・モレロのツイートから始まった結成秘話を語る

プロフェッツ・オブ・レイジ、トム・モレロのツイートから始まった結成秘話を語る

現在北米ツアーを敢行中であり、その後ヨーロッパ・ツアーが控えているプロフェッツ・オブ・レイジだが、その結成秘話などを明らかにしている。

The Guardian」の取材に応えたトム・モレロは、結成のそもそものきっかけは「CNN」のニュースを観ていた際にドナルド・トランプのニュースの見出しが「Trump rages against the GOP machine」であったことだったと明かしている。

このニュースは共和党の大統領選候補選出に向けた選挙戦時点のもの。共和党自体が組織ぐるみでトランプ潰しにかかっていたことについてトランプが演説中に怒りを露わにしたニュースの見出しで、「トランプ、GOP(共和党)の制度に怒りを露わにする」という意味のものだった。

このフレーズが「社会の制度への怒り」を意味するRage Against The Machineというバンド名に酷似していたため、トムはこのニュースの画像をツイートし、「ぼくたちはこんな(トランプの怒りを代弁する)つもりでバンド名を付けたわけじゃないんだ」とつぶやいてみせたが、これをきっかけに現在の政治状況を糾弾する本格的な活動を模索し始めたという。

Prophets of Rage - Radical Eyes

トムが最初に声をかけたのがパブリック・エネミーのチャックDだったが、チャックとしては当初、そんな活動をしている暇はないと断ったという。

「それでもやってくれってトムが諦めなかったんだ。その後父親が亡くなって、どこかへ消えてしまいたい気分だったんだけどそれもかなわないっていうのもわかってね。だから、なにか新しいことに挑戦しするタイミングなんだなって考えを改めたんだよ」とチャックは説明している。

ただ、ただ自分がフロントマンという大役は負えないとトムに伝えると、トムがサイプレス・ヒルのB-リアルにも参加してもらったらどうかと提案し、それにチャックも大賛成して話が固まったという。B-リアルは次のようにバンドの性格を説明する。

「サッカーに似てるんだよ。地元のチームがいろいろあって、その中でも一番の選手たちは国の代表チームにも呼ばれるわけだよね、オールスター・チームとして。このバンドはそういうものなんだ。俺たちは今もパブリック・エネミーやサイプレス・ヒルとして活動しているけど、世界最強を決める試合に出なきゃならない時にはプロフェッツ・オブ・レイジとして出るんだよ」

バンドは元レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのブラッド・ウィルクとティム・コマーフォードとトムが務めるため、自身の創作に勤しんでいるザック・デ・ラ・ロッチャの了解を得たうえで、バンドは早々と2016年の7月から「メイク・アメリカ・レイジ・アゲイン・ツアー」に乗り出すことになった。

これはトムがニュースを観てきっかけとなったツイートをしてからわずか1か月後のことだった。

ただ、結成当初は確かにトランプ批判が主なメッセージとなっていが、その後も活動が続いているのはトランプが大統領になったからではなくて、たとえ、ヒラリー・クリントンが大統領になっていたとしても糾弾するべきテーマが同じようにあったはずだとバンドは説明する。チャックは次のように語る。

「俺たちは別にグループが活動していけるようにテーマとなる厄災が起きてほしいと願ってるわけじゃないんだからさ。語らなきゃならないようなことは山ほどあるんだから」

トムはさらにこう続ける。

「人間の解放のための闘争っていうのは、アメリカでも海外でも、トランプの前からあったし、その後にだってずっと続いていくものなんだ。プロフェッツがこれからも怒りを向けていく材料はいくらでもあるんだよ」

Prophets of Rage - Unfuck The World

さしあたっての問題としてメディアにはびこっている情報操作についてB-リアルは次のように語っている。

「(デマや虚偽のニュースを発信するフェイク・ニュース・サイトとして知られている)『Infowars』みたいな連中は本当にひどいやつらだよ、風上に置けない連中さ。誤った情報を発信する連中は全員そうだよ。ニュースを発信する側がみんなソーシャル・メディア化しているんだ。みんなニュースの全貌をちゃんと開示ないからね。自分に都合のいい部分だけを伝えているだけで、場合によってはすべてが嘘八百だったりするんだよ。

自ら虚偽のニュースを広めてこうした状況を悪化させている大統領までいて、そいつが自分への批判がフェイク・ニュースだと抜かし始めると、もうすべてがでたらめってことになるんだ。

だから、俺たちの音楽にはちゃんとしたニーズがあるんだよ。トムがいつも言うように、変化とは自然と起きるものじゃないんだ。自分たちの闘争の結果として変化を起こしていくもので、それを触発するために俺たちはここにいるんだよ」

また、トムも次のように続けている。

「この多種多少な偽情報現象には大切な教訓が潜んでいるんだ。それはつまり、こういうことはずっと前からあったことなんだけど、今それが際立って明らかになってきたということなんだ。どんなニュース記事も事件の全真相を伝えてはいない。公平でバランスのとれたニュースなどありえない。全貌を捉えたニュースなど存在しない、ということが明らかになってきたんだよ。

その一方で、音楽の強味というのは、言葉以前に聴き手に訴えかけるものを持っているところなんだ。音楽のリズムと言葉のライムの組み合わせがうまくいくと、それはほかのなにものにもない、真理のように感じるんだよ。抵抗運動というものにはサウンドトラックが必要なんだ。プロフェッツ・オブ・レイジはそのオーディションに今応募しているんだよ」
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