3月9日に14年ぶりとなるソロ・アルバム『American Utopia』をリリースするデヴィッド・バーンが「Rolling Stone」のインタビューに答え、同新作について語っている。
デヴィッドはセイント・ヴィンセントとのコラボレーションとなった2012年の『ラヴ・ディス・ジャイアント』、あるいはファットボーイ・スリムとの2010年のコラボレーション作品で、イメルダ・マルコス元フィリピン大統領夫人のライフ・ストーリーを追ったコンセプト・アルバム『ヒア・ライズ・ラヴ』(その後ミュージカル化もした)など、近年でも精力的な活動を続けてきているが、ソロでのスタジオ・アルバムとしては2004年の『グロウン・バックワーズ』以来となる。
まずは今作の収録曲が全般的にタイトでポップな作りになったことについて、デヴィッドは以下のように答える。
(ポップであることについては)ほとんど気にしていないよ。歌詞はふつうのポップ・ソングで聴くような歌詞とはまったくもってかけ離れたものになってるからね。
実際、僕は他の色んなアーティストに対してこう言うしかないんだ、「自分の彼氏とか彼女以外のことについて書かなきゃだめだよ! この世の中、広いんだから。もう18歳じゃないんだからね。やればできるさ!」ってね(笑)
また現在、世の中に対して悲観的にならざるを得ない理由については次のように語っている。
共和党が今もドナルド・トランプとの連携をやめてないからだよ。あいつはファッキン人種差別主義者だし、共和党がそれでもトランプに乗っかってるのは、そうすれば自分たちの目論みも成就できると踏んでるからなんだ。
でもね、トランプとの繋がりを断たない限り、共和党もまたあいつと同じ人種差別主義だということにしかならないんだよ。そのことはみんな、覚えておいた方がいいと思うよ。
そしてさらに、1991年に解散したトーキング・ヘッズの再結成を強固に拒否してきたデヴィッドは、かつて再結成をすると自分個人の活動が霞んでしまうからしたくない、と発言したことがあるが、本当にそう思うのかという問いには次のように答えている。
ほとんどそういうことだと思うよ。人が再結成をするとどうなるのか、ぼくは色々見てきてるんだけど、結局、それはやがて2回目の再結成、そして3回目の再結成へと繋がっていくんだ。
でも例えば、ピクシーズのような人たちについては話は別だね。再結成したピクシーズについては、ずっと昔に来てなきゃおかしかった大勢のお客さんが、今初めて観に来てるわけだから。
でも、再結成をしてるほとんどのバンドについては改めて言いたいことはなくて、「オッケー、これは単なるノスタルジア体操みたいなもんだな」って思うだけなんだよね。ぼくはそういうことには興味ないんだよ。
一方で、セレーナ・ゴメスのヒット曲“Bad Liar”にトーキング・ヘッズの“Psycho Killer”のベースラインのサンプリングが使われていることについて、こうした使われ方に当惑しないのかという問いには次のように答えている。
いや、全然そんなことはないよ。たとえば、”This Must Be the Place(Naive Melody)”(トーキング・ヘッズの1983年の『スピーキング・イン・タンズ』に収録)のような曲を使われたらちょっと問題にするかもしれないけど。この曲はすごくパーソナルなラブ・ソングだから、これを再利用して、ものすごく暴力的な曲とかに使われたりしたら、それはさすがにぼくも「それをやらせるわけにはいきません」って通達するだろうね。
でも、そういうことじゃないんだったら、どんどん使ってほしいよ。まったく気にしないし、バンドのぼくたちはみんなそれでお金をもらえるから。というわけで、セレーナ・ゴメス、ありがとう!(笑)
なお、『American Utopia』からは収録曲“Everybody's Coming To My House”が公開されている。
『American Utopia』のトラックリストは以下。
1. American Utopia
2. I Dance Like This
3. Gasoline And Dirty Sheets
4. Every Day Is A Miracle
5. Dog’s Mind
6. This Is That
7. It’s Not Dark Up Here
8. Bullet
9. Doing The Right Thing
10. Everybody’s Coming To My House
11. Here