日本武道館のステージにロックバンドが立ってきた歴史のバトンを繋ぐために、いつものライブの流儀を封印したところもあったが、それ以上にたくさんの新たな息吹が吹き込まれていて、しかもそれがいつものパフォーマンスの代わりなどではなく、最新アルバム『梵唄 -bonbai-』を作り上げた今のBRAHMANのすべてを伝えるための挑戦のパフォーマンスになっていた。
たくさんの素晴らしいゲストを迎え、TOSHI-LOWのMCにも温かさ、優しさ、笑いが溢れていたが、その芯には彼らの音楽を生かし続ける怒り、哀しみ、執念があるということをあの会場にいた誰もが感じていたと思う。
アンコールはなかった。
しかし、この日この場所で差し出せるすべてを4人が差し出し、受け取れるすべてをオーディエンスは受け取った。
今までのBRAHMANのライブの中で一番、これからを感じさせるライブだったように感じた。
あのBRAHMANが、日本武道館でそんなライブをしたんだということをずっと心に刻んでおこうと思う。(古河晋)