欅坂46は新曲“ガラスを割れ!”で、またもや想像を超えて時代を射抜く「反骨」の表現を生みだした

欅坂46は新曲“ガラスを割れ!”で、またもや想像を超えて時代を射抜く「反骨」の表現を生みだした
欅坂46が、新曲“ガラスを割れ!”のミュージックビデオを公開した。


同曲を初めてフルで聴いた時、これまでのシングルとはまた違う曲調で新鮮に感じられた。というより、欅坂46のシングル表題曲はここまでどれも異なった曲調であることになるのだが、そうでありながら彼女たちの「欅坂46」としての像は一貫してブレることはないばかりか、その芯はだんだん強固なものになってきていると感じる。そして今回、欅坂46が今までで一番「ロック」を全面に出したこの楽曲を6thシングルの表題曲として掲げたのは至って自然な流れというか、今だからこそ彼女たちの中に育つ強い芯と、ロック調の楽曲・衣装・パフォーマンスが気持ちよく合致したのだろうと思う。

一般的にロックと言うとバンドを思い浮かべると思うが、彼女たちはバンドではないし紛れもなくアイドルである。しかし“ガラスを割れ!”が「アイドルが歌うロック調の曲」に留まらないのは、やはり彼女たちのパフォーマンスがあってこそのことだとMVを観て改めて思うのだ。メンバーの鋭い目つきや少し大人びたクールな表情、何かを振り払うように激しく全身を使うダンス、そして楽曲に吹き込まれた「屈することなくここから突破していく」という彼女たちの力強い意志――“ガラスを割れ!”は特に反骨心が色濃く出ている歌詞だが、今の彼女たちのパフォーマンスが発する熱量はこの強い歌詞にも負けていないどころか、凌ぐ勢いである。アイドルという枠で見れば異質であるがゆえに、彼女たちの道は平坦ではないだろうし、激しいパフォーマンスや強い言葉を用いるために体力や精神力の消耗も激しいのではないかと思うが、だからこそ“ガラスを割れ!”に宿る切実さやリアリティがあることは確かなのだ。

1stシングル『サイレントマジョリティー』での強烈なデビューを経て、2ndシングル『世界には愛しかない』がリリースされた時、私は「影のあるクラスメイト――欅坂46が大人になった私たちに思い出させるもの」というタイトルのコラムを書いた。それこそ3rdシングル『二人セゾン』までは少女時代ならではの潔癖さ、大人への疑心、過剰な自意識といったものを思い起こさせる曲が多かったように思うが、デビューから2年弱という時間の中で、すでに欅坂46の存在は10代のヒリヒリした時間を思い出させるようなものではとっくになくなっている。欅坂46がガラスを割って突き進むように、時に傷つきながらも駆け抜けている景色はリアルタイムであって、ガラスに映っているのは目の前の彼女たちだ。そして「ガラスを割れ!」という言葉は「あの頃」ではなく、彼女たちと同じ時代を生き、この曲を聴いている「今この瞬間」の私たちへも投げかけられている。そんな欅坂46のマインドはやっぱり「ロック」なのだと断言したい。(渡邉満理奈)
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