2005年にリリースされたNANA starring MIKA NAKASHIMA“GLAMOROUS SKY”は、アーティスト・ソングライター・タイアップ作品、それら全てが美しい化学変化を起こした最上の例と言っても過言ではないだろう。
矢沢あいの人気コミック『NANA』の実写映画化の主題歌であり、原作者の矢沢自身が作詞し、HYDEが作曲、そして主演の大崎ナナを演じた中島美嘉が歌ったこの曲。
楽曲そのものとしても、まぶしいポップスとして、疾走感のあるロックとして、バランスが素晴らしい上に、さらに『NANA』の青春ストーリーと中島美嘉の歌唱力、そしてナナのクールな役柄も相まって、多面的な魅力を発揮し、大ヒットとなった。
あれから13年。再び中島美嘉とHYDEがタッグを組んだ。
TVアニメ『ダーリン・イン・ザ・フランキス』のオープニングテーマ“KISS OF DEATH(Produced by HYDE)”である。曲名を見ただけで、このふたりらしい仕上がりが想像できるが、蓋を開けると改めて、最強タッグであることを知らしめられる。ポップでありながらも、どこか妖艶な雰囲気は『ダーリン・イン・ザ・フランキス』の世界観に引き出されたところが大きいと思うが、“GLAMOROUS SKY”から時を経て、大人になった中島をHYDEが捉えたというふうにも聴こえてくる。
HYDEはL'Arc-en-Cielとして、VAMPSとして、ソロとして、様々な楽曲を生み出しているが、自身が歌う場合は、どんなポップソングでも軸足はロックに着けた楽曲や、コアなスパイスやニューウエーブなテイストを混ぜ込んだ楽曲に仕上げていると思う。“GLAMOROUS SKY”を聴いた時に驚いたのは、彼の秘めていたポップセンスが全開になっていたからだった。それを躊躇なくできたのは、歌い手が中島美嘉だったからだろう。
登場した頃から、歌声や存在感そのものがミステリアスだった彼女。だからこそ、思い切ってポップセンスを全開にしても、アーティスティックに昇華してくれるであろうという信頼感が、HYDEの中にはあったのではないだろうか? そして中島美嘉にとっても、HYDEの「ただ明るいだけではない」ポップセンスなら飛び込めるという安心感があったように思える。
世代もスタイルも違うけれど、「トップアーティスト」である立ち位置と、核にある「センス」は共通しているふたり。だからこそ、異色でありながら親和性の高いタッグということで、世の中にインパクトを与えたのだと思う。このふたつが重なり合うアーティストを音楽シーンにおいて探すとなると、なかなか難しい。
HYDEと中島美嘉は、幸運にも『NANA』で出会い、さらに再び『ダーリン・イン・ザ・フランキス』にてタッグを組むこととなった。ふたりのタッグそのものがドラマティックなゆえに、映画やアニメという作品とも相性がよいのだと思う。
今は“KISS OF DEATH(Produced by HYDE)”をじっくりと堪能しながらも、この先の化学変化を見たいと願わずにはいられない……たとえまた13年も待ったとしても!(高橋美穂)
中島美嘉×HYDE、最強タッグが放つ13年ぶりの新曲“KISS OF DEATH”を聴いて
2018.03.07 12:30