宇宙まおが歌う世代を超えたラブソング――“休みの日”がつなぐ物語

宇宙まおが歌う世代を超えたラブソング――“休みの日”がつなぐ物語 - 『休みの日』『休みの日』
“休みの日”という名曲をご存じだろうか。JUN SKY WALKER(S)が1991年にリリースした、5thアルバム『START』に収録された、ジュンスカファンの間でも人気の高いバラード曲だ。宇宙まおは、この楽曲を今年2月の弾き語りライブでカバーした。楽曲の、ナイーヴで瑞々しくも繊細な歌詞とメロディは、宇宙まおのどこか中性的で凛とした歌声にとても合っていて、彼女の弾き語りのスタイルともとてもマッチしていた。さらに、続く4月の彼女のライブには、JUN SKY WALKER(S)のボーカルで、この楽曲の作詞者でもある宮田和弥(Vo)がサプライズで登場し、同曲を宇宙まおと一緒に歌ったのだ。

宇宙まおによるこの名カバーが、音源として先週ついにCDリリースされた。プロデュースを、同じくJUN SKY WALKER(S)の寺岡呼人(B)が担当し、宇宙まおのあたたかい歌声とアコースティックなピアノサウンドを存分に生かした作品に仕上げている。休日が終わり、恋人が離れていってしまう日のことを綴ったこの切ない歌を、宇宙まおは噛みしめるように丁寧に歌い、そこに原曲とはまた違った静かな寂しさやメランコリーが立ち現れてくる。悲しみを忘れ去りたいのではなく、今はその悲しみにやさしく触れていたい──そんな繊細で微妙な心情を、宇宙まおの声は見事に表現している。ぜひ原曲ファンも一度聴いてみてほしい。


さらにこのシングル作品では、宇宙まおの最新アルバム『ベッド・シッティング・ルーム』の表題曲を、アコースティックバージョンで再レコーディングしたものも収録されている。宇宙まお自身が書いたこの楽曲は、“休みの日”と同じく、すでに「ここにはいない」恋人のことをひとりの部屋で思う、切ない感情が静かに描かれた名曲だ。こうして2曲を並べて聴いてみると、それぞれがひとつの別れの物語を別の視点で描いた楽曲のような、不思議なシンクロを感じさせる。実際、宇宙まお自身も“休みの日”を披露する際のMCで「このジュンスカの名曲は、昨年リリースした“ベッド・シッティング・ルーム”と同じ物語のような気がしています」と語っている。それはもちろん偶然だったのだけれど、彼女がソングライターとして、あくまでも等身大でナチュラルな視点を持ち続けていること、そしてジュンスカの楽曲の魅力もまたそうであったことに気づかされる結果となった。


図らずも、対で描かれているかのような2曲となったが、“休みの日”のMVは、まさにそれを表現するかのように、“ベッド・シッティング・ルーム”のMVと同じく、猪塚健太と清水くるみのふたりが起用されていて、2曲で描かれる物語が互いにリンクするような映像に仕上がっている。宇宙まおが“休みの日”で表現したかったことが、このMVでさらに明確になると思う。世代を超えた2曲の切ないラブソング、その素晴らしいカップリングを、この作品でじっくりと堪能してみてほしい。(杉浦美恵)
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