星野源は、自身の音楽的ルーツをもとに、イエローミュージックという表現基盤を作り上げた。“アイデア”の1コーラス目はその到達点と言えるものである。しかし、現在の彼の表現欲求は、自ら規定したイエローミュージックの枠組みを不自由に感じ、そこからハミ出してしまうものだった。世界基準の最新ポップにシンパシーを抱き、“アイデア”2コーラス目以降の大胆な展開が構想されることになる。ここには、時代や文化を背景にした音楽のギャップが確かに表れている。あなたも、CDショップの店頭で、或いは音楽配信サービスのアプリ上で、細かく分類された音楽のジャンルを目の当たりにすることはあるだろう。“アイデア”の2コーラス目は、そんなモヤッとした気持ちを見透かしたように響いていた。ガラリと雰囲気を変えるのに、バンド演奏から星野源のフォーキーな弾き語りの間を、なんとも華麗に滑らかに繋いでいるのだ。この曲はまるで、理想的な秩序をもった世界のようだ。星野源は、自身の表現欲求を肯定し解放するのと同時に、なかなか融和することのない時代や文化のギャップを肯定し、解放してしまった。皮膚で遮断されているからこそ感じられる感触や温度があるように、「全然違っているのに、繋がっている」感動が、そこには立ち上っている。“アイデア”はすごい曲だ。でも、まだ気は抜けない。我々は、《夫婦を超えてゆけ/二人を超えてゆけ/一人を超えてゆけ》と歌われた“恋”が、『逃げ恥』という傑作ドラマの最終回で最も力強く輝いたことを知っている。『映画ドラえもん のび太の宝島』のクライマックスで、完璧な響き方をした“ここにいないあなたへ”を知っている。9月末にいよいよ物語が完結する『半分、青い。』で、“アイデア”という楽曲は秘められた真の力を発揮するはずだ。これからの約1ヶ月、心してかからなければならない。そうそう何度も泣かされてたまるかよ、星野源。(小池宏和)
星野源“アイデア”に張り巡らされた、数々の音楽的ギミックについて
2018.08.31 18:30
星野源は、自身の音楽的ルーツをもとに、イエローミュージックという表現基盤を作り上げた。“アイデア”の1コーラス目はその到達点と言えるものである。しかし、現在の彼の表現欲求は、自ら規定したイエローミュージックの枠組みを不自由に感じ、そこからハミ出してしまうものだった。世界基準の最新ポップにシンパシーを抱き、“アイデア”2コーラス目以降の大胆な展開が構想されることになる。ここには、時代や文化を背景にした音楽のギャップが確かに表れている。あなたも、CDショップの店頭で、或いは音楽配信サービスのアプリ上で、細かく分類された音楽のジャンルを目の当たりにすることはあるだろう。“アイデア”の2コーラス目は、そんなモヤッとした気持ちを見透かしたように響いていた。ガラリと雰囲気を変えるのに、バンド演奏から星野源のフォーキーな弾き語りの間を、なんとも華麗に滑らかに繋いでいるのだ。この曲はまるで、理想的な秩序をもった世界のようだ。星野源は、自身の表現欲求を肯定し解放するのと同時に、なかなか融和することのない時代や文化のギャップを肯定し、解放してしまった。皮膚で遮断されているからこそ感じられる感触や温度があるように、「全然違っているのに、繋がっている」感動が、そこには立ち上っている。“アイデア”はすごい曲だ。でも、まだ気は抜けない。我々は、《夫婦を超えてゆけ/二人を超えてゆけ/一人を超えてゆけ》と歌われた“恋”が、『逃げ恥』という傑作ドラマの最終回で最も力強く輝いたことを知っている。『映画ドラえもん のび太の宝島』のクライマックスで、完璧な響き方をした“ここにいないあなたへ”を知っている。9月末にいよいよ物語が完結する『半分、青い。』で、“アイデア”という楽曲は秘められた真の力を発揮するはずだ。これからの約1ヶ月、心してかからなければならない。そうそう何度も泣かされてたまるかよ、星野源。(小池宏和)