レキシの「歴史」は『SONGS』でこのように解明された

レキシが「自分が楽しむこと」を音楽活動で一番大事な原点に置いているのには、ある曲の歌詞からの影響があるという。さだまさし“道化師のソネット”の《笑ってよ君のために 笑ってよ僕のために》という歌詞だ。「(聴いたとき)電気が落ちた」という。

11月10日に放送された『SONGS』にはレキシが出演。「レキシ」の「歴史」を探るというテーマで特集された。まず、VTRでレキシは、歴史に対してのワクワクとした感情を再度「沸騰させに来るイメージ」で訪れるという江戸東京博物館へ。中でも、創作意欲を刺激する、として紹介していた明治の子供や大人たちが笑顔を見せている何気ない写真が確かに、今日の出来事のような空気感をまとっていて面白い。そんな歴史の中の「リアル」に触れた瞬間が一番ワクワクするという。

そもそも、歴史をテーマに曲を書くレキシが生まれたのはなぜなのか。『SONGS』責任者である大泉洋からの質問に答える形で語られたのは、「好き」や「愛してる」といった言葉を「歴史」というフィルターを通すと、照れくさくならずに歌にしやすいからだそう。番組では、フェスでレキシのライブを観た時に「生まれて初めて自然に手が振れた」というレキシネーム「森の石松さん」こと、松たか子からのメッセージがあったが、これもまた歴史というフィルターを通すことによって生まれる現象だろう。稲穂を振って盛り上がるレキシのライブはその空間だけの非現実感があるし、普通のバンドやアーティストのライブでは気後れしてしまうような人でも「楽しまなければ損」といった気持ちで盛り上がれる。

番組では3曲、TV初披露となったレキシネーム「ビッグ門左衛門」こと、三浦大知とのコラボ曲“GOEMON feat. ビッグ門左衛門”などのライブパフォーマンスが放送されたが、中でも最後に観客を前に披露された“きらきら武士”にはそんなレキシのライブの楽しさが存分に映し出されていた。「自分が込めたいなっていう要素がすごく入った」と語るこの曲は、手を振り盛り上がれるアッパーな曲調で、サビの《あなたは武士》に代表されるように歴史が散りばめられた歌詞でありながらも、なぜだか最後にはエモーショナルな気持ちにさせられる。レキシも毎回、歌い出しのサビで「何歌ってるんだろう」と思いながらも、毎回、感極まっているという。

自分にとって神様みたいな人だと語る、さだまさしからのメッセージを聞いたときのレキシも感極まっているように見えた。「笑ってもらおうと思ってるやつって泣きながらやってる。その涙を見せないところがいい」とさだはレキシを賞すと、それを聞いたレキシは思わず「ヤバイ、泣きそうになった」と下を向いた。

“きらきら武士”でアウトロの最後の最後まで、左右の観客の近くに走り回って手を振る姿にレキシなりの道化師の在り方を見た気がした。アフロ姿でサングラスをかけ、ときに紫式部に、ときに五右衛門に、と姿を変え、常にエンターテイナーとして振る舞いながら、歴史をテーマにしたポップスを作り歌い続ける。レキシの、ステージでは見せない信念を『SONGS』で見ることができて、よりその人柄と音楽が好きになった。(菊智太亮)
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