宇宙まおの新作『電子レンジアワー』に込められた彼女のライフストーリーとは?

宇宙まおの新作『電子レンジアワー』に込められた彼女のライフストーリーとは?
11月28日にリリースされた、宇宙まおの新しいミニアルバム『電子レンジアワー』が素晴らしい。矢井田瞳とのコラボ曲で先行配信された“涙色ランジェリー”や、GOOD BYE APRILが演奏を担当しメンバーの倉品翔がプロデュースを担当した“くしゃみ”など、さまざまなゲストミュージシャンやプロデューサーを迎えカラフルなポップ作に仕上げられた。


宇宙まおが本作へとたどり着いた経緯はドラマティックだ。2017年秋から弾き語りのシリーズライブとして繰り広げられていた「Wardrobe Songs」には、彼女がソロのシンガーソングライターとして自身と深く向き合う意味合いがあった。喪失感や孤独感を抱き、その中で新曲を制作・披露し、『電子レンジアワー』収録曲にはそれらの楽曲も含まれている。


今夏、配信およびシングルCDとしてリリースされたJUN SKY WALKER(S)のカバー“休みの日”(同曲をテーマにしたノベライズ作品も刊行)にも、丹念に紡がれた名曲に向き合い、ひとりのアーティストとして楽曲に込められた思いを汲み取ろうとする姿勢が窺えていたが、つまり他のアーティストとの共演や、複数のプロデューサーによって楽曲の解釈の広がりがもたらされた『電子レンジアワー』の根底には、ソロのシンガーソングライターである宇宙まおの、揺るぎない作家性と感情が横たわっているのである。孤独の先に、共有されるべき音楽があったというわけだ。

矢井田瞳との楽しく愛らしい掛け合いボーカルで失恋女子のマインドを映し出すアレンジとなった“涙色ランジェリー”には驚かされたし、アイドルグループ・ガチンコ3への楽曲提供の縁あってメンバーとの共演作となった“snow poppins”は、これから迎える冬のシーズンにぴったりなドリーミーなコーラスが映える。“君のいちばんにはなれない”の、今にも叫び出したいような思いを切ないメロディへと置き換える実力には、舌を巻く思いがした。これが、宇宙まおである。


“涙色ランジェリー”と並んでPERIDOTSの久保田光太郎がプロデュースした“愛だなんて呼ぶからだ”。ライブサポートでもお馴染みのSUNNYによる信頼のプロデュース曲“電子レンジアワー”と、楽曲制作の過程で果たされた数々のコラボレーションは、宇宙まおが音楽を通じて交流を深めてきた人々との対話であり、彼女の人生の一部である。2019年2月21日には、渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて『電子レンジアワー』参加アーティストを迎えたスペシャルライブが行われる予定だ。(小池宏和)

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