The 1975のマシュー・ヒーリーが大躍進を遂げた3rdアルバムの全てを語る。「多くのバンドは3枚目を作る頃にリアルな決断をするんだ」

『rockin'on』2019年1月号より

11月30日に通算3枚目となるニュー・アルバム『ネット上の人間関係についての簡単な調査』をリリースしたThe 1975

『ロッキング・オン』1月号では、これまでの2作とは大きな変化を遂げた今作について迫るため、バンドのフロントマン、マシュー・ヒーリーへ行ったインタビューを掲載している。

前作について「デビュー・アルバムがポップだったら、今作はさらにポップになっている。前作がそこそこヘヴィだったら、がっつりヘヴィになっているっていうように、全てが誇張されているんだ」と語っていたマシュー。

では、今作はどのようなことを意識して制作したのだろうか。

今作もたぶん同じだね。全てが前作を誇張したものになっている。ただそれと同時に、前作までとは全然違うとも言えるんだ。ヘヴィになったとか軽くなったではなくて、誠実さがより誠実になっている。恐れがより増している。希望がより満ちている。そういったメッセージが誇張され振り切れたものになっている。

本作を作る前には僕自身も(ドラッグの)リハビリに行ったり色々あったけど、それでも自分たちが成し遂げたいものはわかってたからさ。

(メンバーと)丸1年一緒に住んだということにしても、それは音楽に全てを捧げているからで、僕たちの行動は全部、自分たちにとっての最高傑作を作るという目的に合致してるんだよ。


また、今作では一部の楽曲においてレディオヘッドからの影響を強く感じる部分があるが、その影響についてマシューは以下のように語っている。

僕はレディオヘッドは、過去25年くらいのなかで最高のブリティッシュ・バンドだと思ってるんだ。レディオヘッドは僕にとって神の領域にいるバンドなんだよ。だから気安く「そうそうそれはレディオヘッド的な感じで」とか言いたくない。

『OK コンピューター』は本当にものすごいことだったし、自分にとってもあれを聴いたのはものすごい瞬間だった。多くのバンドは3枚目を作る頃になると、リアルな決断をするんだ。それまでやってきたことを続けて現状維持しようとするか、あるいは『OK コンピューター』や『キッド A』のようなアルバムを作ろうとするかね。

僕にとって、レディオヘッドがさらにいいバンドになって興味深くなって、それと同時にアルバムごとにさらに普遍性を獲得していった姿というのは、本当に刺激を与えてくれるものなんだ。


そして、今作と連作になる来年リリース予定のアルバム『Notes On A Conditional Form』について、また、この2作からなる「Music For Cars」というコンセプトについても以下のように語っている。

今回の作品とは対照をなすだろうけど、どう対照的になるのかは僕がコントロールできない部分だな。今作とはまた違った15曲の楽曲群という感じになると思う。感じとしては、もしかするとこれまでで一番……一貫性じゃなくて何だろう……でもそういう一貫した感触があるものになるかもしれない。

僕たちにとって、音楽を作る経験として一番新しい感じがあるね。すでに書いた曲もあるんだけど、ちなみにその曲は僕たちのイギリス愛、イングランド愛について、ブリティッシュ・ダンス・ミュージック・カルチャーについての曲なんだ。僕はそのカルチャーで育ったからね。

この2枚のアルバムを表わすのが「Music For Cars」ってタイトルなんだけど、たとえば16歳の頃はバーに行けなくてどこにも行き場がなかったからひたすら車の中で音楽を聴いていた。それに対するオマージュみたいなものなんだ。


インタビューではその他にも、今作にみられる社会問題からの影響や、アルバム・タイトルとも繋がる現代のインターネット文化との付き合いなどについても、マシュー独自の視点で語られている。

意欲作『ネット上の人間関係についての簡単な調査』はどのようにして生まれたのか、マシューが明かしたその全容は『ロッキング・オン』1月号をチェックしてもらいたい。



マシュー・ヒーリーのインタビュー記事は現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
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『rockin'on』2019年1月号