現在発売中のロッキング・オン12月号では、The 1975:マシュー・ヒーリーのドキュメントを掲載!
以下、本記事の冒頭部分より。
「何も有名になりたいわけじゃない。ただ、自分のやってることで認知されたい。
それが今では僕が何をやってるかよりも、何者であるかによって有名になっちゃう世界。
しかも、人がどう反応するかは複雑で予想がつかない」
2023年1月、もうじき34歳になるロックスターのマシュー・ヒーリーは家のソファーで目を覚ました。唯一、普通と異なる点はそこが自宅ではなく、ロンドンのO2アリーナのセット上で2万人の黄色い歓声に囲まれている点だった。彼が率いるThe 1975がウッドパネルの仕切りと額縁に入った家族写真で飾られた舞台にスタンバイする中で、細身の身体をタイトなスーツに包み黒髪のカールを耳にかけたマシューが目を覚ますと大げさにパチパチと目をしばたたかせる。そして、フラスコから液体をひと口あおるとピアノの前に座る。
そこからタバコに火をつけると、小刻みに繰り出される神経質なリフから最新作 『外国語での言葉遊び』収録曲で幕を開ける。《調子が良くない状態から独自の美を作り出して/売れそうなネタを探して、とことん自分の中を堀り下げる》 と歌って赤ワインのボトルをゆっくりとあおると、観客から歓声がわき起こる。
《可哀想になあ、今17歳で生きてるなんて》というリフレインが響く。彼と3人のバンドはちょうどその世代でバンドを始め、以来20年の親友として、主にライブ、アルバム、パーティー、そして女子という共通の関心事のもとに、アートの力によって自分自身を解放し世界を変えられると本気で信じてきた。
そして現在、彼が感じているのと同様に、今現在の平均的な17歳は地球温暖化や資本主義の行く末を案じながら、自分の発言がいかに簡単に誤解を招きかねないかを実感しているのだろう。未来に何の保証もなく、それでも現状を生き延びるための策として、今どきの10代は先祖返りして保守的なシステムにおとなしく従うか、もしくは自らが受けた不当な扱いを盾にして主張しまくる。それがソーシャルメディアによって歪んだ彼らから見た世界観であり、アイデンティティなのだ。
(以下、本誌記事へ続く)
The 1975:マシュー・ヒーリーの記事の続きは、現在発売中の『ロッキング・オン』12月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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