「今から30年前、あの頃ロックは……」――1988年、ロックに何が起こっていたのか? 対談&作品レビューで混迷の時代を振り返る

「今から30年前、あの頃ロックは……」――1988年、ロックに何が起こっていたのか? 対談&作品レビューで混迷の時代を振り返る - 『rockin'on』2019年2月号より『rockin'on』2019年2月号より

今からちょうど30年前、日本では東京ドームがオープンするなど、90年代を目前に少しずつ時代が動き始めた1988年。『ロッキング・オン』2月号では、毎年恒例となる新春しみじみ企画「今から30年前、あの頃ロックは……」を掲載している。本記事では、今から30年前の1988年、ロックに何が起こっていたのかについて『ロッキング・オン』編集長の山崎洋一郎、ライターの杉浦美恵が語り合った対談の模様を一部抜粋し紹介する。

N.W.A.、キース・リチャーズ、トーキング・ヘッズetc……1988年にリリースされたアルバムについて杉浦(以下、杉)「改めて、88年にリリースされたアルバムのラインナップを見た時に、ひとつひとつについては、ああそういえば聴いたな、良かったなっていうのはあるんですけど、俯瞰すると散漫な印象があって。自分の音楽の聴き方もそうだったんですけど……当時は17歳、18歳とかだったのもあって。私が洋楽を聴き始めたのが80年代はじめで、そこで影響を受けたものがどんどん失速してくという悲しい状況になり(笑)、それこそロッキング・オンを読みながら、これからは何を聴こうかな?って考えていました。もはや80年代ではないな、っていう感じが、このラインナップからはします」山崎(以下、山)「そうだね。でも、前年の87年くらいまでは、それなりにロックの、いわゆる大ヒット・アルバムがあったんだよ。例えばガンズ・アンド・ローゼズの『アペタイト・フォー・ディストラクション』とか、プリンスの『サイン・オブ・ザ・タイムズ』とか、キュアーの『キス・ミー、キス・ミー、キス・ミー』とか、そういうエポックメイキングな名盤が出ていたんだけど、88年にリリースされたロックのアルバムっていきなり地味なんですよ。だから、いよいよ風が止んだ!みたいに思った年でした」
ヒップホップの隆盛――気になるロックの行方は?山「(中略)いちリスナーとしては、ヒップホップすげえ!っていうので、テンションは高かったんだけど、でも俺、ロッキング・オンの編集者だし、ロックはどうなるの……?みたいな(笑)。その不安をダイナソーJr.にぶつけていた」杉「Jも、そんな責任を負わされているとは(笑)」山「でも、頼むぞー!って電話インタビューを申し込んだら、スキー場にいて。『スキーが好きなんだ〜』みたいな感じで、肝心の音楽的な質問にはほとんど答えてくれず(笑)。大丈夫かなロック?って思った(笑)」(中略)
山「そうね。これは語弊があるけど、いわゆるグランジに繋がっていくような、ポスト・ハードコアのシーンがアメリカでは盛り上がっていたけど、シリアスでまじめなものだったわけで。それがインディ、オルタナみたいな流れとしてピクシーズやソニック・ユースに受け継がれていった。ロッキング・オンはそういうのも大好きだし、高く評価するメディアだけど、なんかね、まじめで良質なだけのロックにちょっとイライラしていて。笑えるくらいすげえロックがなくなっちゃったな、って思っていたんだよね」杉「確かにシリアスでしたよね」山「そう。そこに行っちゃったらロックがつまらなくなるな、だったらヒップホップの方がどっかんどっかん事を起こしててラジカルだからいいな、でもウチはヒップホップ雑誌じゃないし、っていうジレンマがあった。だって、1年間のうちに、ブルース・スプリングスティーンが3回表紙になってるんですよ。おまけにU2は2回表紙。しかも、スプリングスティーンの全盛期だったかって言うと、全然そんなこともなく(笑)、アルバムで言うと『トンネル・オブ・ラヴ』(87年)とかの時期」杉「ああ、わりと地味な方ですね」山「そう。それぐらい苦しかったんですよ。って言ったらスプリングスティーンに悪いけど。90年代にストーン・ローゼズやブリットポップがくるまでの地味な時代だったね」
続くロックの低迷……救世主となるアーティストは?杉「ストーン・ローゼズの1stアルバムも89年ですしね」山「編集部にローゼズのレコードが届いて、みんなで針を落とした時に、“アイ・ウォナ・ビー・アドアード”が聴こえて、異常に興奮したのね。でも、よく聴くと……まあ、カッコいい曲だけど、そんなにドカーン!っていう感じじゃないじゃん。でも、みんなで興奮したのを覚えてるの。それは、ロックが死んでたからなんだよね。やっときた! 救世主が!って思えたから」杉「私も、その感覚はありましたね。やっと、リアルタイムで何かが変わるアルバムに出会えたって」山「そのあとにブリットポップ、グランジがきて」杉「この年は、このラインナップの中で言えば、トーキング・ヘッズの『ネイキッド』がすごく好きで、当時は、その周辺を掘っていったりしてましたね。なんでもいいからいい曲を聴きたいって。そういう聴き方になったのも、地味なアルバムが多かったからなのかもしれない。終わってはじまる年、っていう感じですよね」

記事では対談のほか、プリンス、ボン・ジョヴィ、R.E.M.、U2,メタリカなど1988年にリリースされたアルバムのディスクレビューも掲載している、少しずつではあるがロックに光が差し始めてきた1988年に、一体どんな作品が生まれ音楽シーンに影響を及ぼしたのか、ぜひ『ロッキング・オン』2月号の特集記事で振り返ってみてほしい。

1988年を振り返った特集記事は現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。
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「今から30年前、あの頃ロックは……」――1988年、ロックに何が起こっていたのか? 対談&作品レビューで混迷の時代を振り返る - 『rockin'on』2019年2月号『rockin'on』2019年2月号
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