そんな彼らは、曲もさることながら、ミュージックビデオも再生数が多いもので300万回を超えているなど、そのクオリティ、芸術性の高さでも注目を集めている。ちなみに、これまで発表しているMVはすべて、常田大希(G・Vo)も所属しているクリエイティブレーベル・PERIMETRONが制作している。
その公開されているMVの中から、King Gnuを昔から聴いている人にも、これから聴いてみようという人にも、これは押さえておくべき、というMVをピックアップする。もちろん、すべてのMVを観ることを推奨するが、まずはここでピックアップした5本を観て、King Gnuの世界観をじっくり味わってみてほしい。(中川志織)
① Tokyo Rendez-Vous
King Gnuとしての初MV。冒頭の歌詞に合わせ、混雑した電車に常田が乗り込むところから始まる。東京という世界で個性を殺して生きている人たちもいれば、個性的に生きている人たちもいる、というメッセージを感じる。その中で自分たちなりの音楽を鳴らしていくという象徴のようなMV。
② Vinyl
今となっては代表曲的存在。YouTubeのサムネイルから官能的な印象を受けるが、内容はシュールさと過激要素を兼ね備えている。Vinyl=ビニール袋を破ることで、身の解放や、欲望のままに生きるということが表現されている。
③ Prayer X
アニメ『BANANA FISH』のエンディングテーマとして話題になった。作品に合わせたかのような、金髪の青年が登場するアニメーションMV。サリンジャー著『バナナフィッシュにうってつけの日』を思わせるような描写が特徴的で、思うように生きられない苦しさと、絶望を描いている。
④ It's a small world
映画『マスク』でジム・キャリーが演じたイプキスをイメージさせるような主人公の恋愛物語が、3分40秒ちょっとで、コメディ要素も含め、恋の始まりから終わりまで収められている、ショートムービーのようなMV。
⑤ Slumberland
最新アルバム『Sympa』のリード曲。《“Wake up people in Tokyo Daydream. ”/Open your eyes, open eyes wide.(目を覚ませ、目を凝らせ)》という歌詞からも、世の中の真の姿を見ろというメッセージが伝わる(slumberとは寝ている、無駄に過ごす、停滞、などの意味)。縛り上げられた「コメンテーター」たちは、最後には周りで繰り広げられたいた馬鹿騒ぎと一緒に狂ったように踊り出すという、愉快でもありシュールなMV。