日テレ系ドラマ『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』の第7話が放送され、クライマックスに向けてどんどんスリリングな盛り上がりを見せている。このドラマの魅力は何といっても教師役である菅田将暉の熱演と、生徒役である若手俳優たちの魅力あふれる演技。しかも初回から、とある私立高校を舞台に教師が生徒29名を人質に立てこもるというセンセーショナルな内容で、爆破するだの殺すだのと脅しながら教室の中でじっくりと、ひとりの生徒の自殺に向き合いながらその真相を暴いていくというミステリー。
最初はもちろん、生徒たちはこの狂気じみた教師・柊一颯(菅田将暉)に抵抗したり怯えたりしていたが、誰かが景山澪奈(上白石萌歌)を自殺に追いやった原因を探るのみならず、生徒ひとりひとりに真っ直ぐに向き合って熱い説教をする様に、生徒の心も大きく揺さぶられていく。「よく考えるんだ。自分自身で答えを出すんだ」、「悪意にまみれたナイフで、けがれなき弱者を傷つけないように、変わるんだよ! 変わってくれ……」などと毎回、全力で名台詞を繰り出してくる姿は、(やっていることは滅茶苦茶だが)現代の金八先生とも言うべき熱血教師ぶりである。そして「今日も俺の授業を始める」や「Let's think」といったお決まりの台詞もあり、シリアスな内容ながらどこか憎めない教師像を演じているのはさすが菅田将暉である。ちなみに3年ほど前に取材した際に、「いつか教師役がやりたい」と語っていたので彼自身の想い入れもきっと半端じゃないのだろう。
フェイク動画やSNSなど今の時代とそこにある問題をあぶり出すような内容も、きっと中高生をはじめ多くの視聴者に響いているのだと思う。実は病を抱えながらこんな事件を起こしている柊先生の目的とは一体何なのか。回を追うごとに様々な問題が絡まっていくような展開から目が離せない。私達は最後まで平成最後の熱血教師に「Let's think」と投げかけられることになりそうだ。(上野三樹)
ドラマ『3年A組』が熱く残酷にあぶり出すものについてLet's think
2019.02.19 17:55