オーストラリアのチャリティ・イベントにコールドプレイら!

オーストラリアで開催された災害被害者のためのチャリティ・コンサート“サウンド・リリーフ”に、コールドプレイ、キングス・オブ・レオンなど豪華アーティストたちが集結し、熱いライブ・パフォーマンスを繰り広げた。

このイベントは、同日にシドニーとメルボルンの2箇所で開催され、12万人を動員した。2月に発生し200人もの被害者を出したヴィクトリアでの山火事や、今もなお続くクイーンズランドでの洪水の被害者に全額寄付されるという収益は、実に数十万ドルにものぼったという。

シドニーでは、トップバッターのコールドプレイが今年初のフェス出演を果たした。30度を上回る気温の中、お昼頃にパフォーマンスがスタート。一曲目は2000年に発表したヒット曲“イエロー”で、観客に黄色いボールや花吹雪を散らしてファンを盛り上げた。フロントマンのクリス・マーティンは、この日がいかにオーストラリアの人々にとって特別であるかということを十分認識していたようで、観客や関係者に対し「異国のバンドである僕らを招いてくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えていたという。

コールドプレイの演奏時間はおよそ40分。“クロックス”や“美しき生命”などを披露した後、オーストラリアの人気シンガー、ジョン・ファーナムが飛び入り参加。1986年の彼のヒット曲“ユア・ザ・ヴォイス”を共に披露する際には、クリスが「次の曲はオーストラリアの国歌だよ!」と冗談めかす場面もあったという。

現在、オーストラリア全土をツアー中のコールドプレイは、この日のパフォーマンスを“フィックス・ユー”で幕を閉じる――予定だったが、感極まって観客の中に飛び込んだクリスは、帰り道をセキュリティ・フェンスに阻まれ、しばし立ち往生!何回かフェンスを飛び越えようと試みた後、やっと成功したクリスは、ようやく無事に“フィックス・ユー”を歌い終えられることができたという。

コールドプレイ終了後はウルフマザーが登場。8ヶ月ぶりのライブとなった彼らは、4ピースバンドとなった新しい体制を初お披露目した。“ホワイト・ユニコーン”や“ウーマン”など5曲を演奏した後、同時進行中のメルボルンへと急いで向かっていったという。

その頃、メルボルンではキングス・オブ・レオンのステージが始まっていた。7万8千人のファンが集結する前で、彼らは“ユーズ・サムバディ”、“レベルリー”などを披露。

ただし、大ヒット中の“セックス・オン・ファイア”は、山火事の被害にあった人々を考慮して、演奏を控えたという。フロントマンのカレブ・フォロウィルは「あの歌はやらないよ。ここでもすごく人気のある曲だからとても残念だけど、僕らは(被害にあった人々に)敬意を示したいから」とコメントした。

また、オーストラリア出身のアーティストも続々登場。まずは、弱冠16歳のシンガー、ガブリエラ・チルミがイギリス・レコーディング帰りのステージを披露した。オーストラリアのオリコン・チャートともいえるアリア・アワーズにてなんと6冠を達成するという偉業を成し遂げた彼女は、ファンキー&メロウな歌声の持ち主だ。その後も、クラウデッド・ハウスのニール・フィンの愛息リアム・フィンが父とともに登場し、バンドと共に“ウェザー・ウィズ・ユー”や“ベター・ビー・ホーム・スーン”を演奏するなど、オーストラリア組もおおいにステージを盛り上げた。

同じ頃、シドニーでは、アメリカのティーン・アイコン、テイラー・スウィフトが、オーストラリア出身の女優トニ・コレットや俳優のデヴィッド・ウェナム、クリケット選手のシェーン・ワーンなどとともに登場したり、ジェットが6ヶ月ぶりのライブ・パフォーマンスを繰り広げたりと、負けじと大盛り上がりだ。

一方メルボルンでは、このイベントに出席するために母国に帰国したカイリー・ミノーグが、シドニー会場から生中継でビデオメッセージを発信していた。カイリーは、二つの会場に向けて「惜しみない協力」に感謝の気持ちを伝えながら、ピーター・アレンの“アイ・スティル・コール・オーストラリア・ホーム”(意:オーストラリアは未だに僕の故郷だ)のカバーを披露した。イギリスのウィリアム王子、ハリー王子もロンドンからビデオ中継を行い、災害に見舞われたオーストラリアに励ましの言葉をかけた。

この日の大トリは、ビージーズのバリー・ギブ(英国出身だが、オーストラリアでデビュー)と、スペシャル・ゲストのオリヴィア・ニュートン=ジョンだった。“アイランズ・イン・ザ・ストリーム”、“ジャイヴ・トーキン”、“ユー・シュッド・ビー・ダンシング”、“スピック・アンド・スペックス”など、ビージーズの名曲を惜しみなく演奏すると、オリヴィアも自身のヒット・シングル“愛の告白”などを熱唱した。

バリーは、自身のイベントへの参加について「ぜひ出演したいと思っていたよ。こういう素晴らしいイベントは必要だ。僕らはもっと、世の中の出来事に反応しなきゃいけないと思うし、もっと支えあって、もっと主張をするべきだと思う。そのために僕らは今日ここに来たんだ」とコメントした。10年ぶりにオーストラリアに来た理由については、他にも「小さい頃、クイーンズランドに住んでいたことがあるから」だそう。

そして最後バリーは「僕らはオーストラリア人であることを誇りに思っているし、世界のどこにいても(オーストラリア人としての)誇りは常に持っている」と締めくくった。

メルボルンでは他にも、この日のためだけに再結成を果たしたハンターズ・アンド・コレクターズ、ニュージーランド出身のスプリット・エンズ、4年ぶりのライブとなったミッドナイト・オイルなど、活動を一時停止していたバンドの復活ステージが多数行われた。

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