総勢66組の「シーンの次世代」が集結!JAPAN'S NEXT 渋谷JACK 2019 SUMMERを観た

総勢66組の「シーンの次世代」が集結!JAPAN'S NEXT 渋谷JACK 2019 SUMMERを観た

ライブハウスは、新しい音楽との出会いの場である。いつの時代も、さまざまなバンドがこの場所から大きなステージへ駆けあがっていった。その始まりを目撃できるかもしれない。今ここでしか見れない景色があるからこそ、わざわざライブハウスへ足を運んで音楽を聴きたくなるのだ。

ロッキング・オンが企画制作する新世代先取りイベント「JAPAN’S NEXT」がサーキットイベント「渋谷JACK」に生まれ変わって1年。第3回目となる今回は、規模を拡大した合計8ヶ所のライブハウスを文字通りジャックして開催された。出演アーティストは、RO JACK優勝を勝ち取った5組を含め、全66組と過去最多だ。
今年もチケットは完売。12:00開演という時間にもかかわらず、トップバッターから早くも一時入場規制が発生するほどの大盛況。途中で小雨がパラついた曇天の湿気をもかき消すように、最初から最後まで、ひと組でも多くのバンドと出会い、楽しもうとする早耳な観客の熱気が溢れ続けていた。

総勢66組の「シーンの次世代」が集結!JAPAN'S NEXT 渋谷JACK 2019 SUMMERを観た

友人同士で好きなバンドの情報を共有したり、最近行ったライブの思い出話が聞こえてきたり。ひとりで真剣にタイムテーブルを睨む人も、ビールを片手に踊る笑顔も、さまざまな楽しみ方が散見されたが、みんなロックバンドのファンなのだと、ここではあえて言い切りたい。なぜなら、本日の出演者は、ほぼすべて がバンドサウンドを鳴らしていたからだ。パソコンひとつで音楽を作り、ライブもできてしまう時代――なんならいまやそれが主流と言っても過言ではない時代に、全アーティストが思いっ切り生音を鳴らし、ぶつけ合っていた。すべての会場で観客が味わっていたのは、その日限り、その場限りの生のグルーヴ。時に機材の不調や、弦が切れるなんてトラブルのスリリングな空気もまた楽しいものだ。

もちろん、ひと言でバンドと言っても、エレクトロニカやヒップホップ的アプローチを取り入れているバンドも多くいるうえに、その編成はさまざまだ。ひとりのソロアーティストの色が主導するバンドにも可能性を感じたし、女性ボーカルの多彩な個性も目立っていた。はたまたギター/ベース/ドラムという最低限の音に命を懸け、歌を乗せるスリーピースバンドの潔さもたまらなく痛快。同じ楽器を持ち寄っているのに、これだけ違うグルーヴが生まれるのかというおもしろさに何度も驚かされ、さらにそれが若い世代の新星によってどんどん更新されていくさまを目の当たりして思った。なんだ、やっぱりロックバンドって健在じゃないか。
そして、限られた時間で心を掴むべく前のめりでかかってくるバンドたちを、超贅沢なビュッフェのごとく、己の感性で選んで味わって回るオーディエンス。両者がいてこそのライブハウス。どれだけ最新テクノロジーで音楽が進化しようと、この関係はきっと永遠になくならないはずだ。

総勢66組の「シーンの次世代」が集結!JAPAN'S NEXT 渋谷JACK 2019 SUMMERを観た - the quiet roomthe quiet room
総勢66組の「シーンの次世代」が集結!JAPAN'S NEXT 渋谷JACK 2019 SUMMERを観た - ユアネスユアネス

duo MUSIC EXCHANGEのトリを担ったthe quiet roomは、「3回連続出演で、最初はO-nestでした」と歴史を振り返りながら、色とりどりのポップなラブソングで笑顔を生んでいた。TSUTAYA O-WESTでは、ユアネスが、「最後まで残ってくれてありがとう」という優しい言葉とともに、抒情的な空気で堂々トリのステージを幕開け。徐々に激しさを増すサウンドと黒川侑司(Vo・G)の澄んだ歌声に、オーディエンスは身を委ねて聴き入っていく。一方TSUTAYA O-EASTでは、夜の本気ダンスがタイトなアンサンブルで満員のフロア全体を思いっきり踊らせ、百戦錬磨の熱いパフォーマンスを展開。自分たちの前に出演したKOTORIの横山優也(Vo・G)が「本気ダンスしてくれ!」と煽ったことに触れ、今度は「KOTORIのあとに、オオトリいけますか!?」と返す鈴鹿秋斗(Dr・Cho)のMCもキレキレだ。踊らせるばかりでなく、米田貴紀(Vo・G)を中心にメンバーもアグレッシブに動き回る華やかなステージングで、イベントのフィナーレを飾った。

総勢66組の「シーンの次世代」が集結!JAPAN'S NEXT 渋谷JACK 2019 SUMMERを観た - 夜の本気ダンス夜の本気ダンス
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バンドの数だけ音があり、グルーヴがあり、パフォーマンスがある。そのオリジナリティを、メンバー同士で、さらにはバンド同士で刺激し合い、研ぎ澄ませて結実するステージは、間違いなくすべて今日限りのもの。数々の奇跡と出会いを目撃することができたけれど、それで終わりではない。ただ楽しい思い出で終わらせず、ぜひ次のライブに足を運んでほしい。次に生み出される音楽を聴いてほしい。バンドはただ待っていてくれるのではなく、先へ先へ進んでいくものだ。そして、もちろんJAPAN’S NEXTも立ち止まらずに次へ。すでに12月8日(日)開催が決定している渋谷JACK 2019 WINTERでライブハウスを騒がせるバンドは誰になるのか――今から自分で探し始めてみるのもいいかもしれない。(後藤寛子)

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