BABYMETALの新章を音楽的に解析! “Elevator Girl”、“PA PA YA!!”で示した「メタル」と「非メタル」の新融合とは?

『METAL GALAXY』10月11日発売
今年6月28・29日に行われた横浜アリーナ2DAYS公演「BABYMETAL AWAKENS -THE SUN ALSO RISES-」において、2019年内の発売が予告されていた3rdアルバムのタイトル『METAL GALAXY』および世界同時リリース日:10月11日(金)を発表したBABYMETAL。
2ndアルバム『METAL RESISTANCE』以降にデジタルリリースされた楽曲は、“Distortion”、“Starlight”、“Elevator Girl”、“PA PA YA!! (feat. F.HERO)”の4曲。このうち、「3rdアルバム年内リリース」のアナウンス後に公開された今年の2曲“Elevator Girl”&“PA PA YA!!”からは、BABYMETALの「今」の方向性がおぼろげながら浮かび上がってくる。


ドラムンベースのリズムやジャズ調のピアノ、オートチューン風のエフェクトが施されたボーカルが印象的な“Elevator Girl”。そして、タイのヒップホップシンガー=F.HEROを迎え、メタリックなリフとレゲトン直系のダンサブルなビート感で一撃必躍の高揚感を描き出す“PA PA YA!!”。
この2曲に共通しているのは、メタルサウンドを主軸としつつも「非メタル」要素へのアプローチを積極的に取り入れた楽曲である、という点だ。
上記の横アリ公演で新たに披露されていた未発表の新曲2曲のうち1曲が、インド音楽を思わせるオリエンタルな音階と空気感を備えた楽曲であったことからも、その「非メタル」感が単なる偶然ではないことが窺える。

“メギツネ”、“ヘドバンギャー!!”、“イジメ、ダメ、ゼッタイ”、“ギミチョコ!!”などノーリミットなメタルポップ感を炸裂させた1stアルバム『BABYMETAL』(2014年)は、言わば「アイドルカルチャー=ダンスポップユニットからヘヴィメタルという伝統ある異境へのカウンター」的な作品だった。
その後、ワールドツアーをはじめとする海外での活躍を通して、世界中のメタルファンと錚々たるメタルレジェンドからの支持を急速に獲得していったBABYMETAL。2016年リリースの『METAL RESISTANCE』は、メロディックスピードメタル(“Road of Resistance”)、ジェント(“KARATE”)、フォークメタル(“META!メタ太郎”)、プログレッシブメタル(“Tales of the Destinies”、“THE ONE”)など、それこそ「世界メタル博覧会」の如くメタルという表現の多様性を体現する、圧倒的な存在感と迫力を持ったアルバムになった。

そして、来るべき3rdアルバム『METAL GALAXY』。まだ収録曲の詳細は明かされておらず、前述の楽曲群がすべてアルバムに収録されるという確証は今のところないが、「メタルの銀河を旅する」をテーマに、バラエティに富んだ楽曲を散りばめた作品、というアナウンスからも、メタルの太陽系を飛び出して新たな「銀河」へと飛び出した作品になるであろうことは想像に難くない。

SU-METAL(Vocal & Dance)&MOAMETAL(Scream & Dance)とサポートダンサーによる3人の新体制で、横アリ2DAYS+UK「グラストンベリー・フェスティバル」出演という怒濤の3日間を闘い抜き、サマーソニックを挟んで再びワールドツアーへと赴くBABYMETAL。『METAL GALAXY』の全貌への期待に、抑え難く胸が躍る。(高橋智樹)