ドラマ『全裸監督』は観てから善悪を語れ

「覚悟のない欲望ってつまらないと思うわ」

Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』の劇中、まだAV女優・黒木香となる前の佐原恵美(森田望智)のセリフだ。
主人公の村西とおる(山田孝之)にもたくさんの名セリフがあるのだが、やはりこの言葉が本作を言い表していると思う。
なぜ『全裸監督』が日本の『ブレイキング・バッド』とも『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とも『ブギーナイツ』とも言われ、世界同時配信されてレビューサイトRotten Tomatoesでは98点の高得点を獲得し、有吉弘行から向井秀徳までが「ナイスですね!」と叫び、配信開始から1週間でシーズン2の制作が決定するほどの大絶賛を受けているか。
僕は、このドラマがフィクションとノンフィクションの間の一番際どいところを絶妙のバランスと全力全裸の覚悟で突き進んでエンターテインメントにしているからだと思う。
このドラマについて、観る前に善悪を語ろうとする人と何を話しても仕方がない。
その人は、この物語の中でどれだけ真剣に人間というものが語られているかをまっすぐ観ることはないだろうから。
しかし真剣にこのシーズン1の全8話を観た人とならば、好きか嫌いか関係なく、三日三晩でも語り合う価値がある。
それが呼び起こすのが批判だろうが、誤解だろうが、嫌悪だろうが、糾弾だろうが、命懸けで欲望を作品に変えたいんだという村西とおると同じ欲望が、このドラマの作り手、役者全員には憑依している。
それは「何も感じない」「観る前の自分と何も変わらない」と言うことを決して許さない。

無料で楽しめるエンターテインメントは今、たくさんある。
情報だけで善悪を語ることもまた、その一つなのだろう。
でも覚悟に満ちた欲望が生む出すエンターテインメントには、金を払う価値がある。
それは善悪を超えて、世の中を変えるミラクルさえも生み出す。
ドラマ『全裸監督』には、そんなミラクルが溢れているから四の五の言わずに観て欲しいのである。(古河晋)
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