グッドモーニングアメリカ、活動休止発表と新曲“フルスロットル”に寄せて

《嗚呼 遠回りした/そんな時もあったって/笑える様してゆこう/フルスロットルで》

10月15日に突如発表された、グッドモーニングアメリカの活動休止。そしてその翌日にサプライズリリースされたのが、“フルスロットル”という楽曲である。この曲を聴いた瞬間に、活動休止についてのメンバーのコメントを読んでも納得いっていなかった思いがふっと消えていくのを感じた。そうか、そういうことだったのか。

彼らの原点を思い起こさせる2ビート、かき鳴らされるギター、シンプルなメロディ、そしてタイトルどおり一直線に突き進んでいく思いを綴った歌詞。まるで生まれたてのバンドのような鮮やかさ――わずか3分半のこの曲で、グドモは思いっきり「未来」を奏でている。その音と言葉の手触りは、もっとも新しいアルバムである『!!!!YEAH!!!!』とも、あるいはメジャーファーストアルバムの『未来へのスパイラル』とも違う。あえていうなら、彼らの初期の名曲“言葉にならない”みたいだ。

《言葉にならない/想いで溢れてるよ/あの時あなたに/出会えて良かった》と歌う“言葉にならない”と、《手放して 手摺りなんて/もう疑わないで 疑わないで/恋い焦がれた未来へ》と歌う“フルスロットル”。見ている方向はまるで正反対だが、その2曲は過去を振り切って未来へと突き進むひとつの物語で結ばれている。そして“フルスロットル”が描く未来には、少しの迷いも葛藤もない。そのこと自体が、このタイミングで彼らが活動休止という選択をしたことの意味なのだと思った。


グッドモーニングアメリカは常に理想の未来像を掲げて「今」と対峙し、悩み、葛藤し、戦ってきたバンドだ。前身バンドの時代から名前を変え、音楽性を変え、キャラクターを変え、つまり生まれ変わってまで、求める未来に必死に手を伸ばしてきたバンドだ。泥臭い戦いをしながら、彼らは一歩ずつ前に進み、やがて日本武道館でワンマンライブをし、地元・八王子で自分たちのフェスを開催するまでになった。楽曲のキャッチーさもさることながら、彼らの物語に共鳴する多くの人によって、バンドは支えられてきた。グドモのライブに集まるファンはいつも、単にファンというよりも、まるでサポーターのようなのだ。熱烈なサポーターに背中を押されるサッカーチームみたいに、グドモは全力で戦い続けてきた。

その物語――グッドモーニングアメリカとしての物語とは別の未来、ここまで4人が歩いてきた道の延長線上にはない未来に、“フルスロットル”は向かっている。《手放して 手摺りなんて》――グッドモーニングアメリカとしては届かない未来へジャンプするための決断。はっきりといってしまえば、この活動休止とはそういうものなのだ。

そんなのわがままじゃないか、まだまだやれることあっただろう、いちファンとしてはそういう気持ちもないではないが、一方では長らく彼らを追いかけてきた身として、あるいは個人的なことだが金廣真悟(Vo・G)、渡邊幸一(G・Cho)、たなしん(B・Cho)と同い年のひとりの人間として、すごくよくわかるところもある。だから、悲しいとか寂しいとかよりも、とにかく「いってらっしゃい」と声をかけたい気分なのだ。

来年1月に開催される東名阪ツアーをもって、グッドモーニングアメリカは活動をストップする。ツアーは彼らの曲名から「また会えるよね」と名付けられた。この期に及んでなんで「よね」って訊いてくるんだよと思うが、そのちょっと迷っている感じがすごくグドモっぽいなとも思う。未来のことなんてわからない、でもわからないこそ「今」にでっかい理想を掲げることができる。どんな「今」を最後に4人で見せてくれるのか、楽しみにしていたいと思う。(小川智宏)
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