TOMORROW X TOGETHERが描く「君と僕」の物語とそこに輝く「明日」について

TOMORROW X TOGETHERが描く「君と僕」の物語とそこに輝く「明日」について
彼らの存在を知っている人からすれば「何をいまさら」と言われるかもしれないが、TOMORROW X TOGETHERの音楽の広がり方は今までに例を見ないものだ。今年1月にBTSが所属するBig Hit Entertainmentからグループの結成が発表され、3月にデビューして以降、グローバルに活動している5人組のボーイズグループである彼らは、現時点で参加した音楽アワードの全てで新人賞を受賞し、来年1月には日本デビューも決定している。この実績を文字として見るとさらにその凄さを実感するのではないだろうか。そして、デビューからこの1年弱のあいだにTOMORROW X TOGETHERから教えられたのは、異なる人間同士が同じ道に立ち、共に明日を描くというのは奇跡にも近しい行為であるということだ。


グループ名である「TOMORROW X TOGETHER」には「それぞれ違う君と僕がひとつの夢で集まって、共に明日を作っていく」という意味が込められている。この名そのままに彼らが歌うのは、「君と僕」を中心に置いたメッセージの数々である。デビュー作品となったミニアルバム『The Dream Chapter : STAR』で描かれたのは、「君と僕」の出会いだった。その出会いに伴う物語としてべっこう飴のようにギュッと詰めこまれた、時間が止まってほしいと願いたくなるくらいにキラキラとした青春。それぞれが異なる個人だったふたりが出会って「僕たち」という単位が生まれる過程には、聴いているこちらがドキドキしてしまうし、しかもそれは、どの方向から光を当てても必ず煌めくものなのだ。


次作となるフルアルバムは『The Dream Chapter: MAGIC』と名付けられた。『The Dream Chapter : STAR』の最後に収録された“Nap of a star”で夜空を見上げながら明日のビジョンを抱いた瞬間が魔法のようだと想いを馳せた少年たちのその後が落とし込まれた、続きの物語だ。歌となった言葉たちは「ずっとこの青春のなかにいたい」という儚さを帯びている。それをまさに「少年」と呼ぶに相応しい年代の彼らが歌うから、切望はよりリアルに浮かび上がる。青春は自分だけで作ることはできないし、ひとりで経験できるものでもない。そもそも「明日」とは、誰かと共に作るものなのだと、グループ名・TOMORROW X TOGETHERが示しているのだ。2枚の作品がリリースされた今言えるのは、5人とリスナーが「TOMORROW X TOGETHER」という点で交わって、そこで初めて「明日」を描ける準備が整うのだということ。異なるエネルギーを、このたったひとつの点に集めるのは、並大抵のことではない。だから冒頭に、「異なる人間同士が同じ道に立ちともに明日を描くというのは奇跡にも近しいことだ」と記したのだ。でも事実、彼らはそれを成し遂げている。それはこれから先、今以上にもっともっと「TOMORROW X TOGETHER」の名が似合う少年たちになるという未来への予感でもある。


言葉がメロディに乗せられる瞬間、ステップを踏む瞬間、彼らの笑顔が咲く瞬間、彼らとのあいだに共通する「今」という瞬間——すべての一瞬に彼らは夢を込めていく。メンバーそれぞれが持ち寄った夢とリスナーの持つ夢、すなわちこの別々の夢が交わった場所に「TOMORROW X TOGETHER」があって、そこに「明日」が生まれるわけである。それに、これらを手繰り寄せて「永遠」にしようとしている「今」という序章こそが、5人の少年たちの翼になっていると思うのだ。(林なな)

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