来年4月来日のボブ・ディラン、米ビーコン・シアターでの最新ライブ・レポートが到着!

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2020年4月にジャパン・ツアーを開催すボブ・ディランだが、ニューヨークはビーコン・シアターにて行なわれた最新ライブのレポートが到着した。



2019年秋アメリカ・ツアー:ロックンローラー・ボブが戻って来た。

2019年10月11日にカリフォルニア州アーバインからスタートした秋のアメリカ・ツアーの締めくくりが、11月23日~12月6日にニューヨークのビーコン・シアター(10回)でおこなわれた。ボブは14年(5回)、17年(5回)、18年(7回)も、ツアーの最後はビーコン・シアターだったので、いつしかディラン・ファンはニューヨークのビーコン・シアターを聖地のように考え始めている。収容観客数2900人(全席指定席)の歴史的な劇場に、地元の人だけでなく世界中から多くの熱心なファンが集まってくる。もちろん、ぼくも毎回見に行っているが、その度にかならず日本人ファンの姿も何人も見かける。興奮のビーコン・シアター連続公演の後、まるでクールダウンするように、18年はフィラデルフィアのザ・メットで、19年はワシントンDCのジ・アンセムでツアー最終公演がおこなわれた。

来年4月来日のボブ・ディラン、米ビーコン・シアターでの最新ライブ・レポートが到着!

ボブのコンサートは開始時間ちょうどに始まるのが当たり前になっていたが、開始の8時になっても始まらない。ステージの様子を観察すると、背景を覆っている黒幕の前に3体のマネキンが立っている。タキシードを着込んだ男性が中心に、数メートル離れた両隣にはドレスを着飾った女性が立っている。何の目的かわからないが、ボブのアイデアであることはまちがいない。ステージ両サイドには数年前からボブのコンサートではお馴染みとなった石膏の胸像が飾られている。ステージ上のセッティングは、左からマイクスタンド、ドラムセット、横に寝かせたウッド・ベース、ステージ・センター前方(といっても奥行きのあるステージなのに半分ほど奥まった場所)に2本のマイクスタンド、やや前方に斜めに設置されたアップライトピアノ、その背後の台の上にペダルスティールとラップトップスティールが並んでいる。客席に丸見えのアップライトピアノの裏側を隠すためなのか、そこにも3基目の胸像が置かれている。頭上には大口径の照明機器が7個ぶら下がっている。街灯のようなスタンド型照明も設置されている。ピンスポットは使われないようだが、以前よりは明るいステージになりそうだ。これならボブの表情も見えるだろう。

10分ほど過ぎてようやく場内の明かりが消され、ストラヴィンスキー作曲の“春の祭典”の一部が流れ、暗闇のステージ右手からボブを含む6人が姿を現し、それぞれ所定の位置についた。音楽に重なるようにドラムスティックのカウントが響き、そのまま1曲目の“シングス・ハヴ・チェンジド”が始まった。照明が点くと、ステージ・センターにギターを抱えたボブが立っている。ボブがギターを弾くのは久しぶりだ。黒いテレキャスターのネックを水平になるように持って弾いている。若い日のロックンローラー・ボブを思い出すような、格好いい姿だ。ボブは数フレーズ弾くたびに、右手でマイクスタンドを握りしめるので、ピックを使わずにフィンガーで演奏しているように見える。リズムを刻むコードは弾かず、もっぱらリード・ギターに専念しているので、ピックを使わないのだろう。

最近のディランのコンサートは、かつてのように日替わりでいろんな曲を演奏することはない。ツアーごとに、ほぼ毎回おなじセットリストだ。これをファンは「ザ・セット」と呼び始めている。ブロードウェイのショーのように捉えてもいいだろう。2019年秋のアメリカ・ツアーの「ザ・セット」を紹介しておこう。来年の日本ツアーは、2019年版「ザ・セット」を下地に、かなりアレンジしたものになると予想している。

来年4月来日のボブ・ディラン、米ビーコン・シアターでの最新ライブ・レポートが到着!

1. シングス・ハヴ・チェンジド(2001年、映画『ワンダー・ボーイズ』主題歌:アカデミー賞受賞曲)
ボブはセンター・ステージでギターを弾きながら歌う。途中コーラス部分は大胆なメジャーコード展開にアレンジされている。

2. 悲しきベイブ(1964年、『アナザー・サイド・オブ・ボブ・ディラン』)
ボブは座ってピアノを弾きながら歌う。メロディもオリジナルに近いアレンジで、ドニー・ヘロンのバイオリンが効果的だ。

3. 追憶のハイウェイ61(1965年、『追憶のハイウェイ61』)
ボブは立ってピアノを弾きながら歌う。ギターとピアノによる激しくバトルするロック・ナンバーに仕上がっている。

4. 運命のひとひねり(1975年、『血の轍』)
ボブは座ってピアノを弾きながら歌う。後半はセンター・ステージに移動し、ハンドマイクでハーモニカを吹く。ボブのハーモニカはここ数年あまりなかったほどメロディアスで感動的だ。また、アメリカン・ソングブックの時代を経たことで、ボブのボーカル表現力にさらなる深みが加わったと思う。

5. キャント・ウェイト(1997年、『タイム・アウト・オブ・マインド』)
ボブはセンター・ステージでハンドマイクで歌う。せっかくマイクスタンドがステージ前方に設置されているのに、ボブはマイクをスタンドから外し、後方、ベースのトニーのそばまで下がって歌う。右手にマイクを持ち、上半身をやや斜め前屈みにして、左手を水平に突き出して歌う。セクシーで格好いいボブだ。

6. マスターピース(1971年、『グレーテスト・ヒッツ第2集』)
ボブは座ってピアノを弾きながら歌う。後半はセンター・ステージに移動し、ハンドマイクでハーモニカを吹く。オリジナルよりもスローテンポで、歌詞もすこし書きかえられている。感動的な仕上がりだ。

7. オネスト・ウィズ・ミー(2001年、『ラヴ・アンド・セフト』)
ボブは立ってピアノを弾きながら歌う。ふたりのギターとラップトップが重厚に響き、新加入のドラマーが前任のジョージ・リセリよりもストレートなロック・リズムを刻むので、かなりハードなできになっている。

8. トライン・トゥ・ゲット・ヘヴン(1997年、『タイム・アウト・オブ・マインド』)
ボブは座ってピアノを弾きながら歌う。ドニーのバイオリンとトニー・ガーニエのスタンドアップ・ベースが印象的に響く。

9. メイク・ユー・フィール・マイ・ラヴ(1997年、『タイム・アウト・オブ・マインド』)
ボブはセンター・ステージでハンドマイクで歌う。歌が始まると客席から歓声が上がる。最近のボブの作品のなかでは広く一般に知られた曲になっていることがよくわかった。ここでもドニーのバイオリンが印象的に響く。

10. ペイ・イン・ブラッド(2012年、『テンペスト』)
ボブはセンター・ステージでハンドマイクで歌う。これまでよりもやや軽快なロック・ナンバーに変わっている。重々しい怒りはやや薄れた感がするが、反面内容が伝わりやすくなったように思う。ブリットが加わったことで、自由さを増したチャーリー・セクストンが見事なギターを聞かせてくれる。

11. レニー・ブルース(1981年、『ショット・オブ・ラブ』)
ボブは座ってピアノを弾きながら歌う。ボブがこの曲を歌うと予測できたファンはいないだろう。2008年に2回歌って以来なので、2019年の極レア曲だ。ドニーのバイオリンをフィーチュアしながら、ボブは感動的なボーカルを聞かせてくれる。歌がうまい。

12. アーリー・ローマン・キングズ(2012年、『テンペスト』)
ボブはセンター・ステージでハンドマイクで歌う。トニーがスタンドアップ・ベースでリズムを刻み、ボブはダンスのように左手を空中で動かす。驚いたことに、ボブが「わたしはまだ死んでいない……」と歌うとき、観客もいっしょに歌う。ファンはこの歌が好きなんだ。

13. 北国の少女(1963年、『フリーホイーリン・ボブ・ディラン』)
ボブは座ってピアノを弾きながら歌う。控えめなバックにボブの歌声が荘厳に流れる。ヴァースごとに奏でられるピアノのリフを聞いていると、この歌が古いイギリス民謡をベースにしていることがよくわかるような気がした。

14. ノット・ダーク・イェット(1997年、『タイム・アウト・オブ・マインド』)
ボブはセンター・ステージでハンドマイクで歌う。ボブのバーカルにディレー・エコーがかけられる。生命の尊厳をも感じさせる絶品に仕上がっている。

15. サンダー・オン・ザ・マウンテン(2006年、『モダン・タイムズ』)
ボブは立ってピアノを弾きながら歌う。3台のギターが絡み合う純粋ロックンロール・ナンバー。日によっては、この曲からアンコールが終わるまで、観客全員が立ち上がることもあった。

16. スーン・アフター・ミッドナイト(2012年、『テンペスト』)
ボブは座ってピアノを弾きながら歌う。背景の黒幕に満天の星が投影される。照明効果が使われるのは、この時だけだ。

バンド紹介:ボブがチャーリー・セクストン、マット・チェンバレン、ボブ・ブリット、ドニー・ヘロン、トニー・ガーニエの順に紹介。このツアーからバンド・メンバーがチェンジしたので、バンド紹介が復活したのだろう。ボブはそれぞれの名前を紹介した後に続けて一言付け加える。さらにビーコンの終わりに近づいた夜、ボブはめずらしく「今夜は会場にジャック・ホワイトがきている。ジャック、立ち上がって顔を見せたらどうだい」と話した。ジャック・ホワイトはニュー・アルバムのプロデューサーとうわさされていた人物なので、ファンの興奮は高ぶるばかりだ。ニューアルバムのタイトルは『デイズ・オブ・ヨア(昔の日々)』とまでうわさが流れていたが、結局これはフェイク・ニュースだと判明した。そのほかにも「今夜はスティーヴ・アールが来ている」、「今夜はリトル・スティーヴンが会場にいる」、「今夜はマーティン・スコセッシとザ・ローリング・ストーンのヤン・ウェナーが来ている」と話す場面もあった。この数年、ボブは歌う以外にことばを発することは皆無だったので、ファンは大喜びだ。観客との距離を縮めたい気分になったのだろうか。

17. ガッタ・サーヴ・サムバディ(1979年、『スロー・トレイン・カミング』)
ボブは立ってピアノを弾きながら歌う。書きかえられた歌詞をメジャー調のロック・ナンバーで歌う。この歌で80年にグラミー賞ベスト・ロック・ボーカルを受賞したことがわかるような力強さを感じた。歌い終わると、何の挨拶もなくステージ右手に消えて行った。本編の終了だ。
 
アンコールを求める歓声や拍手が10分以上続いただろうか、暗闇のステージにボブとミュージシャンたちが戻って来た。

18. やせっぽちのバラッド(1965年、『追憶のハイウェイ61』)
ボブはセンター・ステージでギターを弾きながら歌う。オリジナルはボブがピアノを叩くように弾きながら歌ったのだが、今夜はギターで歌った。不思議な人だ。しかもリードを取るのはボブだ。ボブの代名詞のような3連音符を主体にする独特のリフが心地よい。ボブはギターを捨てたわけじゃない、弾けなくなったわけじゃないことを観客に見せたかったのだろうか。あるいは、ボブ流ファン・サービスなのだろか。いずれにしても、ギターを弾くボブは格好いいし、いつでも熱烈歓迎だ。

19. 悲しみは果てしなく(1965年、『追憶のハイウェイ61』)
ボブは立ってピアノを弾きながら歌う。コンサートを締めくくるには、意外な選曲という感じもするが、スローなヘヴィー・ブルースに仕上げられている。

今や恒例となった最後は、ボブを中心にバンド・メンバーが横一列に整列する。昨年までのボブは「どうだ!」と言わんばかりに観客を見回し、わずかに頷いただけで去って行ったが、今年はちがう。全員がはっきりわかるほど、頭を下げてお辞儀をしてから消えて行った。昨年までのボブは、観客に向け一方的にパフォーマンスを見せるコンサートだったが、今年のボブは観客とコミュニケーション取るような、暖かみにあふれるコンサートに変わった。ステージ場で笑顔を見せる場面も増えた。大歓迎だ。

ボブ・ディラン:ボーカル、エレクトリック・ギター、アップライトピアノ、ハーモニカ
トニー・ガーニエ:エレクトリック・ベース、スタンドアップ・ベース
マット・チェンバレン:ドラムズ
チャーリー・セクストン:エレクトリック・ギター
ボブ・ブリット:エレクトリック・ギター、ボトルネック・ギター
ドニー・ヘロン:ラップトップ・スティール、ペダル・スティール、バイオリン

次のページ2020年、ボブ・ディランの来日コンサートを大胆予測する。
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