Survive Said The Prophetの新アルバム『Inside Your Head』は2020年に俺たちの内側を変革してロックの最新型になる
2020.01.14 12:45
Survive Said The Prophetのロックはめちゃくちゃ痛快に響き渡る。A♯までドロップした轟音ベース、テクニカルな泣きのギター、蜂のように刺すドラム、熱量ビンビンのボーカル&スクリームが渾然一体となって感情を爆発させる、エモを起点とした自由な音楽。ジャンルを飛び越え、各パートのオリジナリティをぶつけ合うことで引き出されるケミストリーの自由さは、シンプルなコードワークによって体現される。彼らの楽曲はたいてい2〜3コード、あるいは王道進行で構成される。なかでも2018年にリリースされた前作のアルバム『s p a c e [ s ]』はエモの鬱屈としたメンタリティを表現しやすいマイナーコードが押し出されていたが、今回は明るい響きが大半。マイナー調なのは“red”くらいだ。これは国内ライブシーンにおいて、マイナーのコアなサウンドは受け入れられにくく、もっと言えば明るく、わかりやすく暴れられる楽曲がウケることを無意識のうちにわかってきたからだろうし、実際にステージで新曲を育てた末に音源として収めた今回の制作過程の賜物だろう。とは言え、「エモっていうものは生きてます」と2019年10月のZepp DiverCity(TOKYO)公演で叫んでいたとおり、その魂は消え去っておらず、スクリームパートでは重厚な響きをかき鳴らしている。つまり芯はそのままにブラッシュアップしているということ。発射台をシンプルにするからこそ、メロディのロケットは無限の宇宙へ飛び立てるのである。そしてもうひとつ磨かれているのがビートだ。シンプルなコードで成立させるって実はすごいことで、それでも飽きさせない秘訣は16ノリに他ならない。ベタな8ビートよりもグルーヴィな16のリズムを巧みに抜き差しすることで、大衆性を帯びた響きのなかにアツく心地いいものを注入している。このあたりのセンスに結成から10周年を迎えようとしているバンドの道程を感じるし、エモをその血に流しながらもいろいろな要素をマッシュアップさせ、真新しいナンバーを作り出す姿勢は、「音楽って最高じゃん?」と無邪気に語りかけてくるような、不思議なヒロイズムさえも醸し出している。そんな求心力が華開き始めているのが、現在のSurvive Said The Prophetなのだ。世界制覇という野望へ向けて、彼らの歩みは止まらない。なぜなら《We’re not alone/In this town that we call home》(“3 A.M.”)なのだから。(秋摩竜太郎)
ロック界の新たなる旗手、爆誕! ……そんな予感を、最新アルバム『Inside Your Head』を聴いて抱かされた。アメリカでは浮遊感あふれるR&B/ジャズ由来のポピュラーミュージックがメインストリームを席巻し、それと呼応しつつ独自の哀愁を追求するシンガーソングライターたちが日本の覇を競うなか、