●セットリスト
1.MUKANJYO
2.Fool’s gold
3.found & lost
4.The Happy Song
5.Right and Left
6.I don’t care
7.When I
8.Conscious
9.Listening
10.NE:ONE
11.HI | LO
12.Spectrum
13.MIRROR
14.T R A N S l a t e d
15.Network System
(アンコール)
EN1.BRIDGES
EN2.Follow
天に向かって突き上げられる1本の人差指——オンステージ直後、Yosh(Vo)が取ったそのポーズは、Survive Said The Prophetのすべてを象徴していた。10月15日、「Made In Asia Tour」9日目となるZepp DiverCity(TOKYO)公演。出演キャンセルとなってしまったa crowd of rebellionだが、小林亮輔(Vo・G)と宮田大作(Vo)は終始ステージ袖にいたそう。ライブは逆光でメンバーのシルエットだけを浮かび上がらせるアーティスティックな演出のなか“MUKANJYO”よりスタート! 臓物をエグり出すようなヘビーサウンド、感情の臨界点を振り切るシャウト、わかりやすいリリックが渾然一体となり、早くもその場の空気を掌握していく。
間髪入れず、「お前らに感謝することがたくさんあるぜ、いくぞ!」(Yosh)の咆哮から“Fool’s gold”へ。血湧き肉躍るリフの勢いがすさまじく、フロアは一気に狂乱状態だ。曲の終わり際、ベース回しを華麗にキメるYudai(B・Vo)。“found & lost”に突入すると、肘を開く独特なドラミングのShow(Dr)に合わせ盛大なハンドクラップが鳴り響く。さらに“The Happy Song”が始まる瞬間、何かが宙を舞った。それは下手の袖にいたスタッフから、上手のIvan(G)へ投じられたシェイカーだった。小気味好いリズムでオーディエンスを躍らせたあと、流れるように“Right and Left”へ。Ivanのフィーガーピッキングがあたたかくもグルーヴィな音世界を作り出す。間奏ではTatsuya(G)が天翔ける泣きのソロを炸裂。続く“I don’t care”はファルセットボーカルで美しく壮大な曲想を展開。エモを基盤としながらも、多彩なサウンドを創出するからこそ、とにかく暴れたいヤツも、爆音で心を震わせなければ今日を乗り越えられない人も、気持ちよく踊り明かしたいリスナーも、みんなが最高の心地になれる。それはサバプロにしか観せることのできない絶景だった。
「長いようで短い、短いようで長い人生……と呼べばいいのかわからない、けれどもとりあえずやってることが楽しくて、人が増えてくことがワクワクするので続けている、この奇跡とも言っていい5人組。今日、皆さまの前で音楽ができて、心の奥底から光栄でございます!」とYosh。この真摯な言葉からも伝わるとおり、彼らは不思議なヒロイズムを持っている。超カッコよく魅了もするが、いつも素っ裸で、決して驕らず、ときには観客と同じ目線で寄り添う。ここに至る地道な道程がそうさせるのかもしれないが、だからこそ彼らの求心力はこれからも倍増していくだろう。“When I”、“Conscious”、インタールードを挟み“Listening”でシンガロングを巻き起こし、“NE:ONE”をブチかまして中盤を駆け抜ける。
しかし一息つくことなく、すぐさま“HI | LO”へ。タッピングや、サンプリングパッドの電子的な音色で浮遊感を演出しつつもギラギラと疾走していく。ここで「一瞬だけ黙って」と生声で叫び始めるYosh。「明日散るかもしれないこの声を、全力で使っているa crowd of rebellionに捧げます」。再びマイクを手に取り、「エモっていうものは生きてます。お前らが生かし続けてくれてるものだと信じてます。だからこそ、お前らが未来であって、お前らが俺らの光になっていくんです」。そこからオフマイクで“Spectrum”の合唱を誘った。“MIRROR”へ移ると、様式美を湛える激情で圧倒。「来年で10周年になります。ひとつだけ覚えて帰ってほしいんだ。どんな形で俺らの音楽に出会ったとしても、アンダーグラウンドから始まった俺らはロックバンドなんだ!」というYoshの宣誓を経て、“T R A N S l a t e d”を投下。まさにカオスの大爆発、とんでもないエナジーを叩きつけ、“Network System
”にて万感のシメ。そしてアンコールにて、5枚目のアルバム『Inside Your Head』を2020年1月にリリースすると発表。その瞬間、Yoshは「めちゃくちゃ楽しみー!」と無邪気にハシャギまくっていた。アクトは“BRIDGES”と“Follow”の2曲で本当の締めくくり。去り際、Yoshの掲げる指は1本増えて、ピースサインとなっていたのだった。(秋摩竜太郎)