ジャケットもポップだけれど、サバプロ史上最大級に開けた作品と言って過言ではないだろう。新体制としては初めてとなる、2年ぶり6枚目のフルアルバム。穏やかで荘厳なオープニングのインスト“Hateful Failures Pt.1”から、彼らが変革に向かって踏み出した作品であることが伝わってくる。それでいてレコーディングはメンバー4人＋エンジニアのみで取り組んだとのこと。つまり、この変革は紛れもなく彼らの意思なのだ。

2曲目はアグレッシブな“Mary”、3曲目は《また洗濯やり忘れちゃって》なんて日常が覗く“Drive Far”、両極なようでどちらもシンガロングできる。続く“Beauty Queen”は、サビでYoshのハイトーンが炸裂することで、よりメロディアスに感じられる。さらに天井を突き抜けそうなスケール感のある楽曲が続き、再びのインスト“Hateful Failures Pt.2”を経て、深く潜るようなエンディングを迎える。これだけ開けながらも温くはない、さらにキッズも誰も置いていかない作品を生み出すには、かなりの技巧と思考が必要だと思う。経験に裏打ちされた、決意に震える力作だ。（高橋美穂）

『ROCKIN'ON JAPAN』11月号より