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ピアノの静謐な音色から始まり、後半にかけて様々な音が重なり合い広がっていくサウンド。その壮大な音世界の一方で歌詞はどこか複雑で、煙に巻かれる感覚も覚える。私はこの“アイリス”を、誰かの死と向き合う人に《わからない》という選択肢を与え、それを肯定し、優しく包み込む楽曲だと解釈する。人の死に直面した時、きっと誰もが、その人が幸せだったのか、そうでなかったのか、死にたかったのか、そうでなかったのかと、終わりのない問いに迷い込むだろう。しかしその問いの答えには《死んでしまった今はもう/知ることはできない》し、《触れられない》。一見突き放すようにも聞こえるが、それは《わからない》ことへの肯定でもある。誰かの死に向き合った人を、答えのない問いや苦しみから解放し、《痛みごとこんな私ごと》抱きしめる。それはひとつの優しさだし、ある意味で希望となりうるのだ。そう思うと、あの壮大なサウンドは、迷いや悲しみを包み込む光のようである。死と向き合うすべての人へ、This is LASTからの祈りのような一曲。(田島梨々夏)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年8月号より)
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