ヤバイTシャツ屋さん、正しい社会の歩き方を楽しく教えてくれる深E曲×5

ヤバイTシャツ屋さん、正しい社会の歩き方を楽しく教えてくれる深E曲×5
ヤバイTシャツ屋さんの楽曲は、“あつまれ!パーティーピーポー”の《ショートカットでツーブロックの女はだいたいダンスうまい》や、“ハッピーウェディング前ソング”の《キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!キッス!/からの入籍!入籍!入籍!入籍!入籍!入籍!!!!!》など、どうしても「おもしろ」のイメージが先行してしまい、そこに込められた本当のメッセージにまだ気付けていない方も少なからず居るかもしれない。しかし、一見フザけている(もちろん最高に良いという意味でだ!)ように思えるヤバTの楽曲には、実はめちゃくちゃ良いことを歌っている名曲が沢山。むしろ、フザけ度が高ければ高いほど、そのメッセージ性が深くなっていると言っても過言ではない。この記事では、そういった一見「迷曲」だけど実はめちゃくちゃ真面目な想いが込められていて、社会の秩序を正してくれるような「名曲」を5曲ピックアップして紹介する。この5曲から、ヤバTの魅力を再発見してもらえると幸いです!(野澤勇貴)


①無線LANばり便利

まずは、メジャーデビュー作『We love Tank-top』から“無線LANばり便利”を紹介する。無線LANが有線LANよりも便利という、こやまたくや(G・Vo)節全開なテーマの曲(そんなテーマで名曲が作れちゃうこやまさん凄い!)なのだが、想いを伝えたくてもハッキリと伝えられない恋のもどかしさを《通信制限》とかけたラブソング的要素もありつつ、曲の最後では《Free Wi-Fiスポット 世界に広がれ 国境を越えて 世界と繋がれ/同じ空見上げ 手を掲げ歌え》と世界平和への願いが歌われている。生まれた場所や人種、宗教の違いなどあらゆる垣根を越えて、地球上の人が全員ヤバTを聴けば、この世から戦争はなくなるだろう。そう思わせてくれる名曲。

②肩 have a good day

続いては、“ヤバみ”も収録されているシングル『どうぶつえんツアー』から“肩 have a good day”。こやまが自分の倍くらい肩幅があると語る大学時代の友達のことを考えながら作った楽曲である。《人はそれぞれ違う肩幅で/称え合ってともに過ごしていくんだ》、《肩幅の広さを気にせずに 心の広さを大切にすることに決めました》と、人はそれぞれ違うけど、「あの人に比べて私はこう」なんて気にする必要はない。自分のペースで無理せず歩いていけば良いんだよと教えてくれている。現代社会では勉強や仕事など、何かと他人と比べがちで心が疲弊してしまうことも多いが、そんな時こそ一旦落ち着いてこの曲を聴いてみてほしい。きっと気持ちが楽になって、自分のペースでまた新たな一歩を踏み出せるはずです。

③かかとローラー

「実は名曲」という話題になった時、顧客(ヤバTのファンの呼称)の中で最もと言って良いほど名前が挙がるのが“かかとローラー”だ。この曲は、「かかとのところにローラーがついた靴」を履いた子供に激突されたというこやまの実体験が基になっている。曲の1番では、《これ子供じゃなくて 車やったら/これ俺確実に 普通に普通に 大事故やで》、《車じゃなくて/小3ぐらいのガキで助かった》と、これまたネタソングを予感させるが、終盤では《親が注意せえ/保護者の責任しっかり果たそう》、《周りが注意せえ/地域のコミュニティー大切に/子供を守り安全な暮らしを》とめちゃくちゃ真っ当なことが歌われている。人同士の繋がりが希薄になっている現代において、見て見ぬ振りをされがちな問題に切り込んだ、ヤバTの社会派な一面が垣間見える1曲。

④ざつにどうぶつしょうかい

子供向けに振り切って作ったという“ざつにどうぶつしょうかい”は、《キリン 首ながい》や、《カメ 走るの遅い》など動物の特徴を紹介しながら、しまいには《タコ おいしい》、《イヌ かわいい》と歌いだすタイトル通りのポップナンバーだ。詞を書いたこやま自身も、ライブで歌詞が飛んだ際、しばたありぼぼ(B・Vo)と歌詞を確認しながら「なんやねんこの曲!」とついつい本音が漏れていた。しかし、最後の「ヒト」を紹介するパートで一転シリアスなモードに。《ヒト 笑いあう》や《ヒト 助けあう》で人間という生き物の素晴らしさを端的ながらも的確に伝え、《ヒト いつか死ぬ/ヒト どうぶつの仲間》で、この世に生きる生物がみな平等で愛される存在であることを教えてくれる。当然と言えば当然なのだけれど、どこか哲学的で、そんな当たり前を忘れてしまっている大人にこそ聴いて欲しい名曲である。

⑤泡 Our Music

最後に紹介するのは、シャンプー「いち髪」のCMソング“泡 Our Music”。こやまの地元の先輩である花団・塚原一繁(Vo)の一発ギャグ《Bubble Bubble バブバブ赤ちゃん…》などフザけた(何度も言うが最高に良いという意味でだ!!)歌詞がパンチライン的に入れ込まれているが、それと同時に、素直に生きづらい社会でついつい抱え込みがちな悩みや苦しみを泡のように弾けさせ、シャンプーのように洗い流してくれる内容にもなっている。『パイナップルせんぱい』収録の“とりあえず噛む”で歌われている内容にも近いテーマを感じるが、この一見ネタソングにも思えるような曲でポップに歌われるからこそ、無意識の内にバリアを張ってしまう現代を生きる私たちの心の深部にまでもしっかりと刺さる。
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