『STRAY SHEEP』とは何なのか。
そのすべてをさらに検証する
文=小池宏和
8月5日にリリースされた米津玄師のニューアルバム『STRAY SHEEP』は、そのインパクトをもって現象と呼ぶべき状況を引き起こしている。彼の最高傑作であることは疑うべくもないが、ここまで大きな数字としてその影響力が証明されるとは、あらためて驚きだ。コロナ禍は収束どころか深刻さを増し、生命を脅かされることはもとより、なかなか思い通りに好きなことができない今日ではあるけれど、不幸中の幸いにして我々は『STRAY SHEEP』とじっくり向き合うことのできる時間を手にした。米津の音楽に触れ、歌詞を受け止めることで、疲弊した精神と体を宥め、考え、今日を生き抜く糧とすることができる。このアルバムは、それだけの懐の深さを持った作品である。それは今後、我々にとって金銭に換算することのできない大きな財産となるはずだ。今こそはっきり言おう。音楽は不要不急ではない。『STRAY SHEEP』リリースにまつわる巨大な数字の数々が物語っているのは、つまりそういうことである。(以下、本誌記事に続く)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2020年10月号より抜粋)
掲載号の購入はこちらから