年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第4位)

年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第4位)

あけましておめでとうございます!

昨年末から毎日ご紹介している、ロッキング・オンが選んだ2020年の「年間ベスト・アルバム」。年を越してのベスト10発表が続きます。

年間4位に輝いた作品はこちら!
ご興味のある方は、ぜひ本誌もどうぞ。


【No.4】
『パニッシャー』/フィービー・ブリジャーズ


年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第4位)

「パーソナル」が新たな次元へ

絶賛されたデビュー・アルバム『ストレンジャー・イン・ジ・アルプス』と共に彗星のごとく登場したフィービー・ブリジャーズ。その後も別バンドのボーイジーニアスを始動させ、フィオナ・アップルやマット・バーニンガー、The 1975らとのコラボを重ね、気づいた時にはインディ・シーンの最も重要なアーティストのポジションに立っていた彼女の3年ぶりのセカンド・アルバムは、膨らみきった期待に見事に応えた大飛躍の一作となった。

本作で何より飛躍を感じるのは、サウンドメイキングの側面だ。前作がフォークを出発点としたソングライティングのアルバムだったとしたら、本作はそんな前作を骨格として立体的に肉付けを進めていったアルバムなのではないか。時に荒々しく、時に繊細に刻まれるギターがフィービーの感情の起伏をそのまま写し取った生々しさである一方で、シンセやストリングスのアレンジは流麗にして弛みなく、モダンなテクスチュアを兼ね備えている。チェレスタやメロトロンなど様々な鍵盤の微妙な音色の差が織りなすチェンバー・ミュージックや、バンジョーやフィドルが躍動するブルーグラスもある。本作も前作同様にエリオット・スミスの影響をうかがわせるが、そこに加えて今回はニュートラル・ミルク・ホテルやアップルズ・イン・ステレオのような、彼女のパーソナルで素面な歌の隙間からポコポコと沸き立ってくるファニーでエクスペリメンタルなポップの側面も無視できないだろう。ジュリアン・ベイカーやルーシー・ダカス、ウォーペイントのジェニー・リンドバーグからコナー・オバーストまで、多くのゲストが総力を結集してフィービーをロケットに乗せ、宇宙に送り出すようなエピック・サイケ・チューンであるラストの“I Know The End”も圧巻で、彼女が本作で遂げた凄まじい変容を物語っている。

「私はあなたを許さない」と実父に告げる“Kyoto”や、自己嫌悪の沼に沈む“Moon Song”のように歌詞は前作以上に痛々しく、ザラリとした居心地の悪さがずっと耳に残る。しかし彼女はそんな自分の負の感情に立ちすくむのではなく、悲しみや怒りを原動力として音楽の可能性を思いっきり押し拡げてみせたのだ。インディ、メジャー問わず多くのアーティストが「哀しい気分」を「哀しげなサウンド」に乗せてきたサッド・バンガーの時代の終わりを告げる、逞しきハッピー・サッド・アルバム。(粉川しの)



「年間ベスト・アルバム50」特集の記事は現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


年末年始特別企画! ロッキング・オンが選ぶ、2020の「年間ベスト・アルバム」TOP10を発表!(第4位) - 『rockin'on』2021年1月号『rockin'on』2021年1月号
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