「インテリっぽい音楽は好きじゃないね。クラシック音楽やモダン・ジャズが嫌いな理由は同じ。ああいう音楽を取り巻く連中が気に入らないんだ」
ジョン・レノンをロックンロールへと向かわせた衝動の源泉を探るというテーマをはらんだ70年のファースト・ソロ『ジョンの魂』。アルバムの制作は70年9月から始まったが、それまでジョンは69年の9月にザ・ビートルズを実質的に脱退し、『レット・イット・ビー』の音源編集を指揮しつつ、ほかではオノ・ヨーコと一心同体となったライブ活動、アート活動、そして反戦活動に身を投じていた。
その後、ビートルズの解散が公の事実となった70年4月にジョンはヨーコとアメリカへ渡り、プライマル・スクリーム療法を受けながら自身が抱えるトラウマを探る経験を重ねる。そして8月にイギリスに帰国し、そのまま『ジョンの魂』の制作に向かった。
このインタビューはその8月に行われたものだ。音楽的にはしばらくリリースもないまっさらの状態で、これまで1年の多岐にわたった活動をまとめるものになっている。この時期のジョンはどうしても活動家としてのイメージが強いが、しかし、ジョンとヨーコの主張がどんな組織も当てにしない、徹底した個人主義に貫かれたものになっているところが実にふたりらしくて興味深い。(高見展)
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