ブルース・スプリングスティーンの名作『闇に吠える街』の秘蔵映像などを公開


数あるブルース・スプリングスティーンの傑作のなかでも、最高傑作との呼び名が高いのが78年の『闇に吠える街』だが、この名作のメイキングをつぶさに追ったドキュメンタリー作品『The Promise: The Making of Darkness on the Edge of Town』が9月14日にトロント国際映画祭でプレミア公開される。

作品の監督を任されたのはブルースのビデオの演出やライブ映像の編集などを数多く手がけてきたトム・ジムニーで、11月頃にリリースされると噂されている『闇に吠える街』の再発盤にも収録される。実は『闇に吠える街』は05年にリリースされた『明日なき暴走』30周年記念盤と似たようなデラックス盤としてのリリースを08年に予定されていたのだがブルースが多忙を極めていたため、その後順延されていた。それがついにこのドキュメンタリー作品やボーナス・トラックなどとともについに日の目を見ることになるが、Eストリート・バンドのスティーヴ・ヴァン・ザントは次のように語っている。

「『闇に吠える街』のアウトテイクにいろいろ手を入れてるところなんだけど、これはクリスマス向けにリリースされるすごい楽しい再発ものなんだよ」とスティーヴは説明している。「(未発表音源集の)『トラックス』では10曲くらい『闇に吠える街』からのアウトテイクを収録したんだけど、今回もまた10曲出てきたんだよ」。

その一方で、ドキュメンタリーの『The Promise』の方はスタジオにおけるブルースのかなりプライヴェートな光景も捉えたものになっていて、これまで公開されたことのない自宅でのリハーサルやレコーディング光景なども収録されているとインディワイアーは伝えている。ドラムのマックス・ワインバーグもローリング・ストーン誌に『闇に吠える街』のセッションでは常に様子を撮影している人間が現場にいたと語っている。

実はこの時期、ブルースは前のマネージャーとの訴訟を争っていて、その決着が着くまで新しい作品のリリースを差し止められていた。しかし、間違いなくこの作品はブルースにとって新しい出発になるともわかっていたので、新マネージャーのジョン・ランドウもこうして撮影の手配をして新しい門出を記録していたのだろう。「あの頃の映像が日の目を見ることになるんだったら、心からぼくは薦めたいと思うね」とマックスも折り紙をつけている。