ブルース・スプリングスティーン初来日の大騒ぎぶりを伝えるのはなかなか難しい。ストーンズ伝説の初来日騒ぎに匹敵、と書くとさらにわかんなくなるか。
85年ついに実現したボスの初来日は3都市8公演で、田舎から友人もやってきたものだ。ボスにしても前年の『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』が世界中で大ヒット、アメリカで80年代にもっとも売れたロックアルバムとなり乗りに乗っている状況での来日だったのだから大騒ぎとなるのも当然だった。
その『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』が今年6月にリリース40周年、そして来年が初来日公演から40周年というので日本独自企画『ボーン・イン・ザ・U.S.A.(40周年記念ジャパン・エディション)』、CD4枚組が9月25日にリリースされる。本編のCD1に加え圧巻は3枚のCDで繰り広げられるライブで、これは日本公演から約4ヶ月後の85年8月22日、地元ニュージャージーのジャイアンツ・スタジアムでのフルライブが収められている。公演日が近いこともあってセットリストもよく似ていて、ライブを体験している人にとっては最高のプレゼントであり、なかなか実現しない近年の来日公演に絶望気分の人にとっても全盛期のEストリート・バンドと共に爆発しまくるライブ体験は特別なものだ。
とくにディスク3の“涙のサンダーロード”からが素晴らしく、ヒットした“ハングリー・ハート”の大合唱あたりは悔しいが日本では考えられない。さらに!、アンコールでは、約1年前にEストリート・バンドを抜けていた盟友マイアミ・スティーヴが加わって、この二人ならではの“二つの鼓動”を聴かせ、“ツイスト・アンド・シャウト~ドゥ・ユー・ラヴ・ミー”などのロックンロール・パフォーマンスを繰り広げるのだから、沸点を軽くぶち切ってしまうのも当たり前。これらを聴いてると日本公演の興奮ぶりも多少なりとも伝わるに違ない。
しかもこの<ジャパン・エディション>、当時のレコード会社担当者の貴重なエピソードや特別フォト集も収録した充実のブックレット仕様で、あの特別な瞬間を祝うのにふさわしいものとなっている。(大鷹俊一)
ブルース・スプリングスティーンの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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