現代のエリオット・スミスとも称されるシンガーソングライター、アレックス・Gが2026年2月に再び日本にやって来る。インディリスナーが詰めかけ大評判だった前回の来日から3年ぶりとなるが、今回、彼はアーティストとしてまた違ったフェイズに立っている。
というのは、通算10作目であり、メジャーのRCAからの初リリースとなる『ヘッドライツ』を出したばかりのタイミングだからである。アレックス・Gといえば、やや常軌を逸しているようにすら感じられる多作ぶりやローファイなプロダクションなど、ある種の「インディミュージシャンらしさ」が大きな特徴だった。実際、絶賛された『God Save the Animals』(2022)の頃にはインディヒーローのようなポジションになっていたように思う。だがメジャーとの契約が発表されたあとはフー・ファイターズのツアーのサポートに抜擢されるなど、確実にステージが大きくなっているのである。
しかしながら、『ヘッドライツ』がわかりやすい「セルアウト作」かと言えばけっしてそうではない。たしかにプロダクションはこれまでに比べてクリアになったが、そのことでアレックス・Gが本来持つビターなメロディセンスが際立つことになったし、カントリーとベッドルームポップを奇妙に混ぜあわせる独特のアレンジの曲も変わらず目立っている。インディで培った精神を損なうことなく、むしろ核とした上で、より広い場所に届くものを目指したということだろう。それは、家族を持つことの喜びや人生を着実に前に進めることといったアルバムのテーマとも合致するものだ。来日決定のタイミングで歌詞・対訳つきの国内盤もリリースされたので、同作に刻まれた彼の現在地点をじっくり味わいたいところだ。
前回の来日ライブは私も観たが、アンコールではその場でオーディエンスからリクエストを募るなど、まさしくインディらしい親密な空気に包まれたものだった。その姿勢は今回も変わらないだろう。ただ、いましか感じられない勢いもあるはずだ。この瞬間のアレックス・Gを、全身で感じたい。(木津毅)
アレックス・Gの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
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