ホット・チップのアレクシス・テイラー、ディス・ヒートのドラムのチャールズ・ヘイワード、スピリチュアライズドのジョン・コクソン、そしてベテランのジャズ・ピアニスト、パット・トーマスによるユニット、アバウト・グループが2枚目の新作『スタート・アンド・コンプリート』を4月27日にリリースする。
2009年にリリースされたファーストは完全にインプロヴィゼーションにもとづいたアルバムだったが、今作はアレクシスのデモをベースにしたレコーディングになりつつもかなり即興性も残した肌触りもあって、レコーディングはあのアビイ・ロード・スタジオで1日で仕上げたものだとか。
内容はティム・バックリーやジョン・マーティンなどといった1970年代のシンガー・ソングライターを彷彿とさせる明るさと温もりを感じさせるものになっているとピッチフォークが伝えている。前作の即興性からよりオーソドックスなソングライティングに歩み寄った今作の意図についてアレクシスはこう語っている。
「たとえば、ジョン・コクソンにアレックス・チルトンの『ライク・フライズ・オン・シャーベット』のメイキング・ビデオを送ってもらったんだけど、これはみんながまだあまり曲を憶えてない状態でレコーディングすれば即興っぽさとちょっとカオスな感じが残って、そんな作品を作りたいとぼくが言っていたのを思い出してくれてのことだったんだよ」
「ホット・チップでは1曲作り上げるのにも数ヶ月もかけたりするけど、でも、今度の作品の曲はどれも、ある時にその場で演奏するのに向いていると思ったんだよね。レコーディングも1日しかなかったし、スタジオもものすごく栄えあるところだし、料金も高いところだったから、練習もリハーサルもやらなかったんだ。たった1回しか演奏してない曲も多いんだよ」とアレクシスは説明している。
もともとバンドはアレクシスのデモ音源をレコーディングの数日前に初めて渡され、意図的にあまり準備ができない状態でスタジオ入りし、マラソン・セッションで収録曲のレコーディングをこなしていったという。こうしたアプローチの真意についてチャールズは「最近ではスタジオでの顕微鏡的な小細工が多すぎると思うんだよね」と説明している。
また、ティム・バックリーっぽくもあれば、どこかジャズっぽい肌合いも持ったことについてアレクシスはこう説明している。
「ティム・バックリーは10代の頃すごくよく聴いていて、ずっと長い間一番好きな歌手だったんだよ。たとえば、今回の音をフォーク・ジャズって言っちゃうとほんとに興醒めなところもあるけど、でも、結構、言い得て妙かなとも思うんだよね。というのも、今度の作品に収録した楽曲を書いた頃、ぼくは確かにすごくフォークを聴いていたからなんだ。ただ、ぼくはミエミエなものは好きじゃないからいかにもフォークですというものにはしたくなかったんだよね。アコースティック・ギターの音は大好きだけど、突っ立ってじゃかじゃかギターを弾く人にはなりたくないんだよ」
新作からの“Don’t Worry”を聴くにはこちらから(→http://soundcloud.com/dominorecordco/about-group-dont-worry#new-timed-comment-at-195068)
新作からのファースト・シングルの“You’re No Good”のビデオを観るこちらから(この曲はR&B歌手ハーヴィー・エイヴァーンが1968年にリリースしたバージョンの“You’re No Good”の音源を使って現代音楽作曲家のテリー・ライリーがテープ・ループによって作り出した世界初のリミックスを意識したバージョンだとのこと →http://www.youtube.com/watch?v=8OtsAeBzatE&feature=player_embedded#at=30)