リリース20周年を記念して、10月5日に<スーパー・デラックス・エディション>などのリマスタリング再発が行われるニルヴァーナの『ネヴァーマインド』だが、このアルバムのプロデューサーを務めたブッチ・ヴィグはカート・コバーンの完璧主義には時としてうんざりしたと語っている。
ブッチがバンドの機材のセッティングをしていてもカートがちょっかいを出してくることがあったと次のように語っている。
「ドラムとギターの音の微妙なバランスを取ってると、カートがやってきて『高音部は全部切ってよ。ブラック・サバスみたいな音にしたいんだ』って言い出すから、ちょっと勘弁してよって感じだったね」
また、カートの気分が突然振れるのも面倒だったとブッチはローリング・ストーン誌に語っている。
「カートは魅力的でいろいろ人を笑わせるところもあったけど、気分の振れが本当にきつかったね。ものすごくご機嫌だったのが、照明が突然切れただけで部屋の隅っこにうずくまって自分の世界に入っちゃったりするんだよ。あれには正直どう対応したらいいのか、ほんとわからなかったよ」
もともと『ネヴァーマインド』のセッションは1990年にウィスコンシン州マディソンにあるブッチのスマート・スタジオで始まったが、この時のセッションの未発表音源などが今回のボックス・セットには収録されるという。
今回のボックス・セットはクリスト・ノヴォセリック、デイヴ・グロール、ブッチ、そしてニルヴァーナのマネジメント事務所が監修していて、『ネヴァーマインド』のリマスタリング音源、B面曲、ミックス違いやライブのフル音源などが収録される。
また、ブッチはこのローリング・ストーン誌の記事のなかで、カートとクリストと当時のドラマーのチャド・チャニングが1900マイル(約3040キロ)も離れたシアトルからぶっ通しでヴァンを運転して自分のスタジオに駆けつけた時のことをこう振り返っている。
「連中はヴァンに乗り込んで、3日か4日くらいは風呂もシャワーも入ってなかったみたいだったよ」
また、ブッチはデイヴのフー・ファイターズの最新作『ウェイスティング・ライト』のプロデュースも手がけたが、セッションを終えたあとにデイヴと『ネヴァーマインド』の頃について話し込んだりもしたという。
「お互いにいろいろ話したいことがあってさ。あれはちょっと特別な一夜だったな」
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