ジャクソン・ブラウンやイーグルスを発掘したことで知られるデヴィッド・ゲフィンは今音楽業界に身を置いていたなら自殺したくなるだろうと自身についてのドキュメンタリーで語っているとか。
ゲフィンは自身の足跡を辿ったドキュメンタリー『Inventing David Geffen』で、現在の音楽業界の中にアーティストが割り込んでいくのは相当に困難だと語っていると『ビルボード』誌が伝えている。
現在の音楽業界でプロデューサーや重役としてやっていく場合、どのような機会や課題が考えられるかと問われると、ゲフィンは単純に「ぼくだったらもう自殺したくなるよ」と答え、ラジオのチャート番組やテレビのヘヴィー・ローテーションなどがかつてほど優先されなくなって、アーティストがメインストリームへとブレイクするのが困難になっているとも説明した。
「反復が必要なんだよ」とゲフィンは受け手が新しい音楽を発掘する際に最も重要な要素を説明している。「なにかを聴くにもたくさん聴くことが必要なんだ」
また、かつてアート・ガーファンクルに大学の建築科を中退して音楽活動に専念するべきかどうかと相談された際には学校を出るように勧め、そのせいでアートを手がけることはなくなったという経緯も説明しているという。また、ワーナーと契約したR.E.M.など、自分が手がけられなかったアーティストは山ほどいたと語り、「断った人たちが重要なんじゃなくて、承諾してくれた人たちが大切なんだよ。自分の人生は自分と関わってくれた人たちによって出来上がってくるんだからね」と説明している。
ゲフィンは1970年にアサイラム・レコードを設立し、ジャクソン・ブラウン、ジョニ・ミッチェル、グレン・フライやイーグルスなどと契約し、一時的にボブ・ディランとも契約したことでも知られている。しかし、アルバム2枚のみ制作してボブは古巣のコロンビアに復帰することになった。その後、いったん音楽業界から引退するが1980年に復帰してゲフィン・レコードを設立。ジョン・レノンの『ダブル・ファンタジー』のほか、ソニック・ユース、ガンズ・アンド・ローゼズ、ニルヴァーナなどのアーティストを見出した。
その後、ゲフィンは映画業界へ進出し、1994年にはスティーヴン・スピルバーグらとドリームワークスを設立した。
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