8月12日のロンドン・オリンピック閉幕式典に出演したエド・シーラン。ピンク・フロイドのニック・メイソン、ジェネシスのマイク・ラザフォード、ザ・フィーリングのリチャード・ジョーンズをバック・バンドに迎えてピンク・フロイドの"あなたがここにいて欲しい"のカヴァーを披露したが、エドのファンではこれを新曲だと思い込んだ人も少なくなかったとかで、みんなこぞってその喜びを「新曲だ!」とツイートしていたとか。
こうしたエドのファンの動きをピンク・フロイド・ファンはあまり好ましく思っていなかったようで、「あの曲のギターの出だしへの拍手と歓声がエド・シーランに向けたものだったと本気でエド・シーランのファンは信じてるの?」などと反感を露わにし、なかには「そんなことわかるわけないじゃん? 自分だって12歳の時にはピンク・フロイドはまだ聴いたことなかったし。きみは12歳の時に聴いてたピンク・フロイドのトラックとか挙げられる?」などとなだめながらも、エドのオーディエンスが11歳以下の子供しかいないと揶揄する意見もあった。
こうした動きを受けてニック・メイソンがエドにメールを送信し、ニックはそのなかでエドにメールを共有することで公開してほしいと指示。そのメッセージはこういうものだった。
「こんにちはエド。ものすごくいい体験になったし、素晴らしいパフォーマンスをありがとう。それにすごく楽しかったね!
ただ、あの曲がきみの新曲ではないと気づかなかった人たちに対してピンク・フロイドのファンが怒りを表明するというライヴ後のいざこざを受けて、ぼくとしても公でファンにもっと落ち着けよと言いたくなったんだ。
ぼくについて言わせてもらえばきみのパフォーマンスはあの曲の素晴らしい解釈だったし、ほかのアーティストにトリビュートをしてもらうのはアーティストにとってはなによりも嬉しいものだし、しかも、そのアーティストが自身も優れたソングライターとして知られている人なら、それはなおさらなんだよ。それにぼく個人もアーティストのカヴァーや解釈は大好きなんだよ。ジョー・コッカー(の"ウィズ・ア・リトル・ヘルプ・フロム・マイ・フレンズ")やジミ・ヘンドリックス(の"見張り塔からずっと")に始まって、ダブ・サイド・オブ・ザ・ムーンとかシザー・シスターズもね。
いずれみんな曲がもともとどういう素性なのかとわかってくれる日がくるだろうし、そうしたらぼくたちのカタログまでいろいろ漁ってくれることになるかもしれないし、ぼくたちのファンだってきみの作品を聴いてみるということにもなるかもしれないよ。音楽は必要以上に党派的になる必要はないんだ。必要があるのだとしても、ぼくは誰にもそんなこと教えてもらったことがないんだよ」