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 熱く気合いの入ったオーディエンスが待ち受ける中、バック・ドロップ・ボムが登場。いきなり1曲目の“FLOW(IT’S LIKE THAT)”から、ガツンガツン腹に蹴り込まれるビートに容赦なく鋭い叫びをあげて襲い掛かってくるギター、そして闘いを挑むようなハイ・テンション&ハイ・パワーでたたみかけてくるヴォーカル勢に圧倒される。今日のバック・ドロップ・ボムはいつもにまして凄まじい。繰り出される音の密度と緊迫感が半端じゃない。こっちの理性なんて一撃でこなごなに打ち砕かれる破壊力。最高だ! 
 7月にドロップしたアルバム『NIPSONG』中心のセットリスト。『NIPSONG』はバックの中でも圧倒的に「ロック」な作品だが、実はものすごく細かなパーツを入念に組み上げた複雑な作品であり、どの曲も非常に緻密な計算の上に成り立っている。つまり相当高度なテクニックとタフな神経を要する曲ばかりなのだが、それが凄まじいダイナミズムで炸裂しているのだ。今年で結成10年目だが、彼らほど「馴れ合い」という言葉から遠いバンドもいない。非常に高いスキルを持ったメンバーが互いの意地とプライドを闘わせて繰り広げるライヴは、ヒリヒリした緊張感とそれゆえに生まれる爆発力が桁違いだ。少しでも油断すると後ろに吹っ飛ばされてしまうようなエネルギーが間髪入れずにぶっ放されてくる。まさに圧巻。が、オーディエンスもまったく負けていない。頭上に拳を掲げ、跳んだり踊ったり、湧き上がる衝動を全力でステージにぶつけている。殺るか殺られるか、ふたつにひとつ。一瞬の隙も許されないメンバー同士の真剣勝負、そしてバンドとオーディエンスとの真剣勝負。それが圧倒的な磁場を生んだ、最強のライヴだった。(有泉智子)