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 やっぱり大晦日なだけに会場を覆う空気は格別に違う。アドレナリンなのか、フェロモンなのか、2万人から放出されたその未知のエネルギーは相当なインパクトがある。そんな空気をさらに濃厚にさせたのが、黒の衣装で統一されたTHE HOBO KING BAND、そして純白のスーツがあまりにも輝かしい佐野元春。一発目は“Back To The Street”。初期の名曲とあって、一部コアファンがさっそく狂喜乱舞する。ソウルフルな“99ブルーズ”を挟み、ツートーンにアレンジされた“インディビジュアリスト”で、次に登場するスカパラより一歩リードしてスカ・ビートをEARTHに響かす。それにしてもいつものクールさとは違い、今日の佐野元春はかなりアッパー。ステージを駆け回り、スキがあれば独特なダンス&奇声で客を煽る。大晦日にふさわしい祝祭ムードが会場を覆う。
 と、思いきや、ステージに椅子が設置されセンチメンタルなモードに突入。ぐっと歌い上げる“観覧車の夜”、そしてシナトラばりにムーディな“君の魂 大事な魂”で場内にアダルトな空気を漂わす。しかし次の“DIG”、そしてギターを手にした“国のための準備”でロック・モード復活。連発される「God!」という言葉があまりにもエモーショナルな“太陽”では再び椅子が登場するが、最後は大合唱を呼んだ“アンジェリーナ”でベテランらしくガツンと締める。
 それにしてもあらゆる感情を喚起させるダイナミックなステージだった。それこそ、ひたすら我が道を貫き通してきた佐野元春の貫禄なんだろう。(内田亮)


1 Back to the street
2 99ブルース
3 インディビジュアリスト
4 観覧車の夜
5 君の魂 大事な魂
6 DIG
7 国のための準備
8 太陽
9 アンジェリーナ