うっすらと夕日が差すGRASS STAGEに登場したのはACIDMAN。最新アルバム『A beautiful greed』に収録されている“CARVE WITH THE SENSE”を鳴らした瞬間、ものすごいエネルギーが波のように押し寄せてくる。静と動の世界を絶妙なタイミングで行き来するACIDMANのロックが、さらにスケールでっかく化けている。“アイソトープ”“FREE STAR ”“ファンタジア”と、ゆるやかに浮遊するイメージから一気に高度を上げてエモーションを爆発させる曲たちは、一悟の言う「最高の時間」にぴったりすぎてテンションが上がる上がる！　“赤燈”のイントロが鳴らされるとわぁっ、という歓声が沸き起こり、忍び寄る夜の帳の中でこの曲が放つロマンティックな光がどんどんと大きくなっていく、その高揚感と言ったらない。「一秒でも最高だと思える瞬間をみんなで作っていきましょう。そうすれば生きていることを肯定できると思うんで」という大木のMCを裏付けるかのように、続く“Under the rain”でのメロディアスな疾走が心を掻き毟り、私たちの心臓の震えをよりいっそう強く感じさせる。“ある証明”では大木がこの日一番のシャウトを聞かせ、サトマが縦横無尽に駆け回り、ラストの“Your Song”では一悟が最高の笑顔を見せていた。唯一無二のスタイルで日本のロック・シーンに君臨するACIDMAN、その本質を垣間見るには十分すぎるライヴだった。（林敦子）