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太陽がもっとも高く上がる瞬間を迎えるこの時間帯、凄まじい歓声に包まれてグラス・ステージに登場したのはACIDMAN! まだSEの段階で、すでに全員が拳を天に突き出している。メンバー登場前にこれだけの盛りあがりを見せるのは初めてじゃないか? 
13時40分、3人が登場。そして始まった1曲目、“type-A”。いきなり爆音サウンドが解き放たれる。徐々に切迫感を強めていくパワフルなビートと暴力的な上音が、やがて天をめざして真っ直ぐに飛翔するメロディと圧倒的なアンサンブルを出現させるこの曲で、フィールドはいきなり最高潮に達してしまった。
ACIDMANの楽曲は、どこまでも凶暴に猛り狂うサウンドと、景色を切り開いていく覚醒感に溢れた美しいメロディライン、このふたつが絶妙のバランスで共存している。「絶妙のバランス」というかむしろ、その両極とも言えるふたつをそれぞれ振り切らせた上で、ひとつの楽曲上に成立させている。それがすごい。そんな彼らの本領がいかんなく発揮された“波、白く”、“アイソトープ”、“アレグロ”という楽曲群を連発し、最高潮のテンションのまんま一気に突っ走ったところで、やっとひと息つく。そして大木のMC。
「“equal”という、素晴らしい曲ができました。今日、初めてここでやろうと思います」。もちろん客席からは大歓声。そしてはじまったのが、まもなく発売になる新曲“equal”だ。「あらゆる色の生命をイコールで繋ぐ」という意味を持ったこの楽曲は、彼らが奏でる「うた」の美しさをよりクローズアップした、非常にリリカルな1曲。なのだが、瑞々しく伸びるメロディの下に不穏に渦巻くギター&ベース、なにかを急き立てるかのようなドラムラインが、体内で得体の知れない化学反応を誘発していく。
セットはそのまま“リピート”に突入。揺れ動く感情の海を漂っていくような、不思議な浮遊感に溢れたこのミディアム・ナンバー。大木特有のどこか現実離れした幻想的なヴォーカルに、思わず意識が飛んでしまいそうになる。目の前の色が霞んでいき、フィールドがそれまでとは違う色に見えてくる。この感覚、ヤバイ。
  クライマックスに向けてのラスト・パートは、“swayed”、“風、冴ゆる”、そして大名曲“飛光”というキラー・ナンバー3曲の連続投下。両手の拳を天に突き上げて客席を煽る佐藤。もちろん、オーディエンスも拳を挙げ返す。
「こんなにも多くの人が、日本のロックのイベントに集まってくれるということに感動してます。ほんとにありがとう」という言葉がステージから放たれた。お礼を言うのはこっちのほうだ。こんなストイックでエキサイティングなロックを鳴らすバンドと共に、いま、自分がここにいられることに、この上ない幸せを感じる。
 ラスト・ナンバーは“水写”。透明感溢れる湖のような“静”と滝のように激情が流れ落ちていく“動”の移り変わりがたまらない。3人がスッと去ったあとのグラス・ステージには、その余韻から抜け出せずに一瞬の静寂が訪れた。(有泉智子)

1. type-A
2. 波、白く
3. アイソトープ
4. アレグロ
5. イコール
6. リピート
7. swayed
8. 風、冴ゆる
9. 飛光
10. 水写