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開始前のメンバー自身によるサウンドチェックが終わり、少し傾いて柔らかくなった日差しの中で山口隆本人の選曲としか思えない熱いソウルのSEから、大音量で恒例のシュガーベイブ “今日はなんだか”が流れると……サンボマスターが登場です! 
「どーもみなさんこんにちは、東京の恥さらし、サンボマスターです!… お待たせしました、ロックンロールの時間ですよ―――!!」 どうしてこの人のMCは、いつもテンションを0.5秒で最高に沸騰させることができるのだろうか? もはやこれは、芸だ。何度も観てるけど、いまだに納得がいかない。すげえ。そして土石流のような勢いで1曲目“愛しき日々”に突入すると、猛烈な勢いでステージに人が集まります! みんな我慢できないのだ。座ってなどいられないのだ。さあ、はねろ、そして熱い泣きのヴァイブスに魂を痙攣させろ!
 続いて“夜汽車でやってきたアイツ”、“美しき人間の日々”と、名曲の固め撃ちで一気に勝ちパターンへ…って、彼らの曲はもともと名曲率が異常に高いのだ。そんな曲をめちゃめちゃなパワーで完全に一体化したメンバー3人がステージで叩き付ける。演奏の上手い下手ではなく、とにかく鳴らしたい音のイメージがぴたりと合っているのだろう。最高だ。
「この中に、人を裏切ってしまった人はいますか! 俺は、そんなやつのために歌っているんだぜ!恥ずかしながら、新しき日本語ロックの道と光をやっているんだぜ!」
 「おい!こんなフェスでまで歌ってくれるのかよ! 俺の歌を!」
こんなムキ出しのMCが浮きもしなければ、シラケもしないのはとにかく彼らは本気であり、それがなんだかよくわからないけど心の奥のほうで納得できてしまうからだと思う。コミカルだと感じる人も、汗くさいと思う人もいるだろう、しかし彼らの曲はそういう反応を超えて、もっともっと奥の方に届くものなのだ。 “さよならベイビー”、そしてソウルフルな新曲“月に咲く花のようになるの”でさらにみんなを盛り上げると、続いてレイクステージを祝福するような弾き語りのMC、そして「あなた」への想いと希望をしっとりと歌い上げるバラード“朝”が響いた。みんなを包む空気が少し静まる。優しい歌のときの山口隆の声の美しさはちょっと他に例えるものが見つからない。続いて、やはり最後は…彼らの名前を一挙にオーヴァーグラウンドに押し上げた傑作、“そのぬくもりに用がある”である。「みなさん、今日のレイクステージのライヴをね、もはや伝説と言ってもいいんじゃないんですか――!!」という高らかな叫びが響き、スタンディングゾーンの一番後ろまで、熱い拳が突き上げられた。言うことなしだ。
すべてが終わると、ステージでは機材の撤収が始まっているのに、「サンボ!サンボ!」という手拍子が鳴り止まなかった。本当に、唯一無二のライヴを見せてもらった。この調子でどんどん行ってくれ、サンボマスター!(松村耕太朗)

1. 愛しき日々
2. 夜汽車でやってきたアイツ
3. 美しき人間の日々
4. さよならベイビー
5. 月に咲く花のようになるの
6. 朝
7. そのぬくもりに用がある