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木々に囲まれ、どちらかといえばレイドバックした雰囲気が漂うSOUND OF FOREST。そこに登場するこのバンドは、いったいどんな景色を見せてくれるのだろうか―そんな期待とともに待ち受けていた今年のART-SCHOOL。木下(Vo/G)がフライングVを一閃、鳴らされた音がのんびりとした空気をザクザク切り裂くと、そこからは完全に彼らの世界だった。緑の森を瞬く間に白昼夢へといざなうささくれ立ったギター・ノイズ。「気合い入れてきました」という木下の言葉どおり、頭から強烈な存在感を放っていく。そう、これだよ、このスリル。いまだにこのバンドをフェス向きじゃないとか昼間観るもんじゃないとか思っている人は、一度このスリルを体験してみればいい。よろめきながらとにかく前へドライヴするロックンロールが、目の前の世界をどしゃめしゃに塗りつぶしていくのだ。“スカーレット”、“DIVA”、“テュペロ・ハニー”、そしてラストは「ある世界の終わり」を描いた“あと10秒で”。セットリストもパフォーマンスも目新しいもんじゃないけど、やっぱり、フェスで観るこのバンドが好きだ。(小川智宏)