ちょっと曇って日差しもずいぶん和らいだGRASS STAGEに、太陽よりも眩しい蛍光イエローの衣裳を着たKREVAがあらわれた！　威風堂々としたオーラを放ちながら“基準”や“KILA KILA”といった、９月にリリースされるアルバムの中から新曲を次々と繰り出す。しょっぱなから完全攻めモードで、ひるむことなく切り込んでいくKREVAのそんな姿勢にオーディエンスは大興奮。
曲の途中で「せっかくのROCK IN JAPANだから、人生初なことをやってみようかな。俺、タオル回したことないけど、ここだったらいけそうな気がするわ、回せー！」と言うと、スタンディング・ゾーンいっぱいにカラフルなタオルの海が揺れる揺れる！しかし「OK！」の一言で間髪置かずに“成功”へ突入するところなんかも含めてKREVAらしいな、と思う。今この場所で、今ここにしかないものを生み出そうとする、とことんライヴな人なんだ。
カメラ目線でサングラスを外したら、こんなMCをしてくれた。「ありがとう、KREVAです。今年もまたひたちなかでみんなに会えてほんとに良かった。震災があってすぐ、今年はROCK IN JAPAN、大丈夫かなって考えている自分がいました。でもこうしてステージに立たせてもらえて感謝です」、そして「でも、毎年チケットが売り切れるフェスで俺を観るために来てくれた俺のファン一番愛してる」と付け加えた。そこからは灼熱のほてりを癒すようなミディアム・ナンバー“HOT SUMMER DAYS”や、まるで鼓動のようなビートの上に丁寧に言葉を放っていく“EGAO”など、じっくり聴かせる場面も。そうかと思えば“挑め Remix feat. MCU & LITTLE”ではMCU&LITTLEが登場し、そのまま3人で“イツナロウバ”。これぞKICK THE CAN CREW＝最高のキャラ立ち3本マイク、今もなお、このチームワークが衰えるわけなどないのである。
　しかし息をのむほどに圧倒的だったのはラストの“C'mon, Let's go”。途中でトラックが鳴り止み、ラップだけで、アカペラ状態で、GRASS STAGEにいる人たちの気持ちをギュッと集中させてしまう凄まじさ。ひとしきり歌い終わり、「どうもありがとー！」と言った瞬間、再びトラックが鳴り始める中、飄々とステージを去るKREVA。鳥肌モノのカッコ良さだった。今年は夏フェス出演の本数を絞ったそうだが、その中の貴重な、意義深いパフォーマンスを見せてもらった。（上野三樹）