星野源のように「夫婦」の歌を歌える人はいない
2016.09.21 12:03
星野源が歌う「夫婦」の歌と言うとファーストアルバム『ばかのうた』に収録されている“茶碗”や“老夫婦”を思い出す人が多いと思う。
彼自身の等身大の年齢の視点を越えて、長い年月を共に過ごしたり、年老いて妻に先立たれた視点に日常レベルまでフォーカスして、男女の間に流れる愛の本当の宇宙を描く。
それは星野源だから見つめようとするし、精密に描くこともできる、すごく独特のテーマだった。
10月5日にシングルリリースされる新曲“恋”は、彼自身が出演するドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』の主題歌で「夫婦」をテーマにした曲になっているが、ドラマの内容ともリンクしながら、どちらかと言うと、これから結婚をしたり、結婚のことを考える男女に向けられた歌になっている。
音楽的には『YELLOW DANCER』のさらなる進化形で、僕らを非日常ではなく日常の感覚のまま身も心も踊らせるための引き出しが、さらに爆発的に増えている。
そのサウンドも相まって“恋”の瞬間的爆発力がまずは飛び込んでくるが、聴けば聴くほど、“茶碗”や“老夫婦”で歌ったような「愛の本当の宇宙」がその“恋”を大きく包み込んでいることも伝わってくる。
果てしない深みを持つ、本当に素晴らしい超ポップチューンの誕生だ。(古河)