浅野いにお先生の『おやすみプンプン』最新刊。
浅野先生には、今年の春まで、CUTでも『おざなり君』の連載をしてもらっていた。
その間、原稿のやり取りなどでお会いするときには、仕事場で色々な話を訊かせてもらったり、逆に勝手に話をさせてもらったり、いまにして思えば、それはやたらと贅沢な時間だった。
若手きってのヒット作家を相手に何を言っておるのだという話なんですが、それはもう本当に楽しくて、幸せな時間だった。
なんて、ちょっとした回顧モードになってしまったのは、久しぶりの新刊となった『プンプン』が、やはりすごいマンガで、というか、どうもこのマンガはやはり、マンガとしてものすごいところに向かっているようだ、ということにいまさらはっきりと気づいてしまったから。
あらためて、すごい人と仕事をさせてもらっていたんだなあ、なんて思ってしまった、というわけです。
思うことは山ほどあるんですが、ここに来て、これまでにいくつも見つけてきたいくつもの点がでっかい画の一部であることに気づいてきた、というか。
それぞれに、シュールさとストレートさのバランスを見事にばらけさせたいくつものプロットを同時に走らせていく、というテクニカルな描き方は、作家自身のある種の「照れ隠し」なのかな、と思っていたんだけど、その帰着点が見えてきた感じ。
いや、それが合ってるかどうかは知らないが、少なくとも現時点において、この作品が描こうとしているものが自分のなかにすっと落ちていく感じがある。
先が楽しみ。
連載が終わってほしくはないけれど、この作品が帰結するときにはまたインタビューさせてもらいたい。訊きたいことはたくさんある。
『おざなり君』もどうにかしてもっとたくさんの人に読んでもらいたいなと思ってます。(小柳)