2007年に現場復帰したフランシス・フォード・コッポラの最新作『Virginia ヴァージニア』。
すごいなあ、70歳を超えても本当に精力的だなあと心底思わされる映画だった。
なぜかって、思い切りヴァンパイア映画なんだもん。
コッポラ史的にはわかりやすく新しくて、世間的にも依然盛り上がっている(ま、そんなスケベな意図はあんまり匂ってこないんだけど)ジャンルに挑戦しているわけで、しかもそれをやりきっているということに素直に頭が下がる。そんな映画。
エル・ファニングがヴァンパイア役らしい、という情報の時点で個人的にはかなり高まっていたんですが、エルのファン的にもだいぶいい感じなのではないかと。
というか、いい。
いや、やっぱりね、この儚さですよね。可憐さですよね。あまりに儚すぎて、もう向こう側透けて見えちゃいそうなぐらい。申し訳なくなるくらいの素晴らしさですね、ええ。
ただ、マジメな話、この映画、本当にエルの存在感ありきなところがあるのだ。
ホラーとしての説得力も、オカルト的なおもしろさも、ダークファンタジーの美しさも全部、エルが演じる謎の少女が担っているので、いろんな意味で楽しめます。
ソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』的なナチュラルもいいけど、ゴスで血まみれなエルも素晴らしいってことですね。
あと、すっかりたくましくなってしまったヴァル・キルマーのダメっぷりもなかなかナイスだった。
しかし、「バートンもデルトロもかかってこいやー」と言わんばかりに世界観を作りこむコッポラのバイタリティは本当にすごい。
いろいろ興味深い映画だった。公開は、8月11日。(小柳)