デヴィッド・ボウイ大回顧展『DAVID BOWIE is』を見て

デヴィッド・ボウイ大回顧展『DAVID BOWIE is』を見て

もう観た方も多いと思う。1月8日よりスタートしたデヴィッド・ボウイ大回顧展、『DAVID BOWIE is』。ボウイのファンの方々はもちろんだが、そうではないという方にも観てほしい。

私が見た日はキュレーターの二人が登場し、会見が行われたが、そのなかで「1973年に初来日したボウイは、日本と西洋の架け橋になったはずだ」という話があった。

1970年代初め、ボウイだけでなく、海の向こうからやってくる異文化にワクワクする気持ちは、当時、どれほど大きかっただろうかと思う。

しかし、矛盾するようだが、ボウイと出会うことは、それがいつであろうが、受け手に、衝撃に値するインスピレーションを与える。ボウイは常に時代の先を行きながら、それでいていつの時代においても人々を驚かせる。しかも、あくまでも愉しく、だ。

何かを実際に作り出すわけではなくても、アーティストでなくても、すべての人生はクリエイティブであり、その人次第でクリエイティブにできる。そんなエネルギーをボウイは与えてくれる。『DAVID BOWIE is』が教えてくれるのはそんなことではないかと思った。

何か新たな価値観に出会うこと。その驚きや喜びを自分のものにすること。忘れてはいけないそんなことを教えてくれたと思う。ボウイ自身も、そうしたことを大事にしていたはずだ。

私はボウイが日本に初めてやってきた7年後に生まれたが、海の向こうからやってくる「何か特別なもの」に憧れる最後の世代なのかもしれないと最近は思っていた。でも、この展覧会を観て、ボウイが伝える、異文化との出会いがもたらす普遍性に直面して、まだまだそれを伝えてくれる圧倒的な才能を持ったアーティストがきっと出てくるはずだと思わずにはいられなかった。
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