それが何年経っても、どれだけ歳を重ねても、どれだけ輝く恋をしてもみじめに恋をしても、どれだけセックスしようとできなくとも、誰かが死んでも生まれても変わらない。
そんなみんなのことを峯田が裏切らないということはわかっていた。
わかっていたけれど、そんなみんなが改めて銀杏BOYZを好きでいて良かったと思える本当に凄い新作。
手元に常に自動アップデートされる電話が手に入ったからか、自分自身も常にアップデートし続けることができるように錯覚しがちな僕らだが結局のところ僕らは何にも変わっていない。
過去は残酷なまでに時間の波に押し流されて消えて、それ相応に歳を食った今の自分があるだけで、大切な思い出は心もとなく胸の中に残っているけれど、確かに信じられるものは何なんだろう。
そこに答をくれるのが銀杏BOYZ。
2020年の先端を行く音ではないけれど、2020年の端っこから溢れ落ちたたくさんの僕らを受け止めてくれる、間違いなく2020年のアルバム。
それがこの『ねえみんな大好きだよ』だ。(古河晋)