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    また、なとりに翻弄されてしまった。新曲 “Sleepwalk”がひときわ妖艶で美しい理由を考えてみる

    また、なとりに翻弄されてしまった。新曲 “Sleepwalk”がひときわ妖艶で美しい理由を考えてみる
    ホラーゲームを題材にしているのに、踊れる??

    「なとりのルーツの一つである『ホラーゲーム』をコンセプトに制作された楽曲」で、「4つ打ちで踊れる音楽性」という楽曲の紹介文を見て、頭の中がハテナでいっぱいになった。

    そして、実際に曲を聴いてみて驚いた。浮遊感を覚える4つ打ちのビートは「ホラーゲーム」のイメージからは遠く、艶っぽい夜を連想させたからだ。紹介文の通り、思わず身体が揺れるサウンド。しかし聴き進めると、その中になんとも言えない「違和感」が埋め込まれていることに気がついた。


    たとえば冒頭の、うめき声のような、古い床がきしむような不穏な音。
    たとえば夢と現をさまよっているような不可解な歌詞。
    たとえば急にフッと音が消えるアウトロの不気味な余韻。
    そして “Sleepwalk” (夢遊病)というタイトル。

    通して聴くと落ち着いた華やかさや妖艶さのあるサウンドが、だからこそ、より一層違和感や不自然さを際立たせている。いや、反対に、違和感や不自然さのエッセンスが、このサウンドをひときわ美しいものにしているとも言える。

    すべて計算かもしれないし、的外れな考察かもしれない。すべてはなとりの手の内だ。
    彼の楽曲はいつもこちらの想像力を掻き立てる。そしていつも翻弄されてしまうのだった。(藤澤香菜)


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